天使からの贈り物・誤算

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
18 / 24
誤算

18

しおりを挟む
「俺は一旦、宿に帰ったぜ!」

「私は始終客の行動を監視してるわけじゃないからね。
あんたは朝早くからいないようだったし、だから、昨夜から帰ってないと思ったんだよ。」

「あんたが酒場から急にいなくなったことを、ポールは心配してたからな。
それで宿屋に行ったんだろうな。
しかし、それにしてもポールはその後どこにいったんだろう。
家にはいなかったが…まさか家の中で倒れてるんじゃないだろうな。
もう一度行ってみるか!」

ジュリアンは、今までのことを考えているうちに、自分の背中にいやな汗が流れるのを感じていた。



「まさか…ポールの奴、俺が鉱山に行ったと思って鉱山に…」

「それはないだろう。
鉱山にあんたがいなかったら、すぐに帰ってくるはずじゃないか。
とにかく家に行ってみよう!」

ポールの家の扉を叩いても、やはり中からの返答はなかった。
ネイサンが裏口の扉をこじあけ、ジュリアンと共に家の中に入ったが、家の中にポールの姿はなかった。
書類もそのままだったため、おそらく昨日からここへは戻っていないだろうと思われた。
それを知ったジュリアンの胸騒ぎはさらに大きなものに変わった。



「ネイサン!このあたりの男に知り合いがいたら声をかけてくれ。すぐに鉱山へ向かう。」

「ジュリアン、何を考えてるんだ?!」

「良いから早く!掘るものも忘れずに持って来てくれよ!」

ジュリアンのただならぬ気配に押されたネイサンは数名の知り合いに声をかけ、共に鉱山へ向かった。
鉱山に着いた頃にはあたりは暗くなっていた。




「これは…!!」

土砂で埋めつくされた鉱山の入口を見た男達は言葉を失った。



「ジュリアン…まさか、ここにポールが…」

「良いから早く掘るんだ!!」



ここへ着くまでは「どうせ無駄足だ」と、何の危機感も感じていなかった男達の胸に、俄かに緊張が走った。
男達はなにも言わず、ただ黙々と土を掘る。
中でもジュリアンは、いつもとは人が変わったように真剣な表情で掘り進めていた。

疲れも空腹も感じないまま、一心不乱に数時間もの間土砂を掘り続けた後…鉱山の奥で男達が目にしたものは、ポールの変わり果てた姿だった…



「ポール…なぜ、こんなことに…」

「俺の…俺のせいだ…!!
ポール、すまねぇ!!」

その場に男達のすすり泣きが広がった…

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

レオナルド先生創世記

ポルネス・フリューゲル
ファンタジー
ビッグバーンを皮切りに宇宙が誕生し、やがて展開された宇宙の背景をユーモアたっぷりにとてもこっけいなジャック・レオナルド氏のサプライズの幕開け、幕開け!

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

処理中です...