154 / 308
side 優一
3
しおりを挟む
*
次の日も、そのまた次の日も、篠宮さんの態度は変わることなく、いつの間にか気まずさもほとんど感じなくなっていた。
「篠宮さん…明日のことですが、お花はどうしたら良いですか?」
「今度は、堤さんのお好きな花を活けてみましょう。
どれでも好きなものを選んで下さい。
あ、もちろんこのお店以外で選んで下さっても構いませんよ。」
「こちら以外に行きつけのお店はありませんから、ここで選ばせていただきます。」
とはいったものの、いつもは篠宮さんかほかのお店の人に任せっきりだったから、いざ、自分で選ぶとなると、妙に迷いが生じた。
なるべくなら、先週使わなかった花を使った方が良いかと思いながら選んだら、やけに派手なチョイスになってしまった。
「では、明日、持っていきますね。」
「はい、よろしくお願いします。では……
あ…料理の方はどうしますか?
メニューは決められてますか?」
「あ……すみません、まだです。」
「もし、早めに決まったら連絡下さい。
僕の携帯の番号…お知らせしときますね。」
「え?…あ…はい、今、メモを持って来ます。」
そう言うと、篠宮さんはバタバタと店の中に走って行き、メモを片手にすぐに戻って来た。
僕は手渡されたメモに、携帯の番号を書き、ついでにメアドを書こうとした時にあることが頭に浮かび、その手を止めた。
「篠宮さん…自宅の方が良いですか?」
「え…?」
「その……もしもご迷惑だったらと……」
彼女は、結婚している。
特にやましいところがなくても、男の携帯番号を登録するのは迷惑かもしれないと思ったのだ。
「いえいえ。そんなことはありません。」
篠宮さんはそう言って何度も首を振った。
「そうですか?
それじゃあ……」
もしも迷惑なら、女の名前に変えて登録するなりなんなり、彼女がなんとか考えるだろう。
メアドはなっちゃんが考えたままのものだったから、変えておけば良かったと思ったものの、もう遅い。
僕はメモを篠宮さんに手渡した。
「スーパーが開いてる時間に決まったら、僕が買いに行って来ます。
決まらなかったら、明日にしましょう。」
「はい、わかりました。」
次の日も、そのまた次の日も、篠宮さんの態度は変わることなく、いつの間にか気まずさもほとんど感じなくなっていた。
「篠宮さん…明日のことですが、お花はどうしたら良いですか?」
「今度は、堤さんのお好きな花を活けてみましょう。
どれでも好きなものを選んで下さい。
あ、もちろんこのお店以外で選んで下さっても構いませんよ。」
「こちら以外に行きつけのお店はありませんから、ここで選ばせていただきます。」
とはいったものの、いつもは篠宮さんかほかのお店の人に任せっきりだったから、いざ、自分で選ぶとなると、妙に迷いが生じた。
なるべくなら、先週使わなかった花を使った方が良いかと思いながら選んだら、やけに派手なチョイスになってしまった。
「では、明日、持っていきますね。」
「はい、よろしくお願いします。では……
あ…料理の方はどうしますか?
メニューは決められてますか?」
「あ……すみません、まだです。」
「もし、早めに決まったら連絡下さい。
僕の携帯の番号…お知らせしときますね。」
「え?…あ…はい、今、メモを持って来ます。」
そう言うと、篠宮さんはバタバタと店の中に走って行き、メモを片手にすぐに戻って来た。
僕は手渡されたメモに、携帯の番号を書き、ついでにメアドを書こうとした時にあることが頭に浮かび、その手を止めた。
「篠宮さん…自宅の方が良いですか?」
「え…?」
「その……もしもご迷惑だったらと……」
彼女は、結婚している。
特にやましいところがなくても、男の携帯番号を登録するのは迷惑かもしれないと思ったのだ。
「いえいえ。そんなことはありません。」
篠宮さんはそう言って何度も首を振った。
「そうですか?
それじゃあ……」
もしも迷惑なら、女の名前に変えて登録するなりなんなり、彼女がなんとか考えるだろう。
メアドはなっちゃんが考えたままのものだったから、変えておけば良かったと思ったものの、もう遅い。
僕はメモを篠宮さんに手渡した。
「スーパーが開いてる時間に決まったら、僕が買いに行って来ます。
決まらなかったら、明日にしましょう。」
「はい、わかりました。」
0
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~
深冬 芽以
恋愛
交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。
2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。
愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。
「その時計、気に入ってるのね」
「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」
『お揃いで』ね?
夫は知らない。
私が知っていることを。
結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?
私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?
今も私を好きですか?
後悔していませんか?
私は今もあなたが好きです。
だから、ずっと、後悔しているの……。
妻になり、強くなった。
母になり、逞しくなった。
だけど、傷つかないわけじゃない。
お飾り王妃の死後~王の後悔~
ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。
王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。
ウィルベルト王国では周知の事実だった。
しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。
最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。
小説家になろう様にも投稿しています。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
片想い婚〜今日、姉の婚約者と結婚します〜
橘しづき
恋愛
姉には幼い頃から婚約者がいた。両家が決めた相手だった。お互いの家の繁栄のための結婚だという。
私はその彼に、幼い頃からずっと恋心を抱いていた。叶わぬ恋に辟易し、秘めた想いは誰に言わず、二人の結婚式にのぞんだ。
だが当日、姉は結婚式に来なかった。 パニックに陥る両親たち、悲しげな愛しい人。そこで自分の口から声が出た。
「私が……蒼一さんと結婚します」
姉の身代わりに結婚した咲良。好きな人と夫婦になれるも、心も体も通じ合えない片想い。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる