天使からの贈り物・偽り

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
6 / 23
偽り

しおりを挟む
次の朝、いつもとほぼ変わらない時間に目覚めたジュリアンはゆっくりと時間をかけながら顔を洗う。



『まだそんなことをやってるのか?
いやなことはさっさと済ませてしまった方が良いのではないか?』

「なんだよ。
おまえは、見てるだけだからなんともないだろうけどな。
俺は、まるで死刑執行人の気分だよ…」

『相変わらず、おまえの言うことは大袈裟だな…』

「あ……」

『どうした?』

「畜生~!
すっかり忘れてたぜ!」

『何をだ?』

「このガーネット、ハリーにやろうと思ってたのに…」



ジュリアンは、昨日、掘り当てた大きなガーネットの原石に目を落した。



「仕方ないな…
じゃ、とりあえず、マージの所に行って来るよ…」



重い足取りでジュリアンは階段を降りて行く。



「マージさん!」

「はい、なんでしょうか?」

「実は…ちょっとハリーから預かったものがあってな。」

「ハリーから?!」

「あぁ…これなんだ。」



ジュリアンは、ハリーから預かった封筒をマージに手渡した。
マージが封を開けると、そこに入っていたのはお金だった。



「お金だわ!ジュリアンさん、これは一体?!」

「金?……そうか…それは慰謝料のつもりなのかもしれないな…」

「慰謝料?なぜ、ハリーが私にそんなものを?
どういうことなんです?」

「実はな…
言いにくい話なんだが…
ハリーは近々結婚するんだ。
それで、これからはその女性の住む町で一緒に暮らすらしい。
多分、その金はそのことに対するあんたへの慰謝料のつもりだったんじゃないか?」

「ま…まさか、そんなこと…!
誰なんです?
ハリーはどこの誰と結婚するんです?」

「そ、そんなことは聞いちゃいないよ。
マージさん…あんたには酷な話だが、ハリーの事はもう諦めた方が良い。
だいたい、あんたには婚約者もいるって話じゃないか…」

「……ハリー……
あんまりだわ…!!」



マージは泣きながら、部屋の奥へ走って行った。



(あぁ…最悪…
こんな役目、引き受けなきゃ良かった…
……酒でも飲むかな…)



ジュリアンが宿の外へ出ようとした時、一人の男とぶつかった。



「あ、すまねぇな。」



男は、冷ややかな目でジュリアンを一瞥すると、黙ってカウンターの奥へと入って行く。



(チッ、なんだ、あの野郎!
感じ悪いな!)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちゃんと忠告をしましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。  アゼット様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ? ※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

令嬢失格な私なので

あんど もあ
ファンタジー
貴族の令息令嬢が学ぶ王都学園。 そこのカースト最下位と思われている寮生の中でも、最も令嬢らしからぬディアナ。 しかしその正体は……。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...