天使からの贈り物・偽り

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
18 / 23
偽り

18

しおりを挟む
「そうだったのか…
あんたの気持ちはわかるような気がするぜ。
相手のことを考えたら、自分の気持ちを貫く事が良いことかどうかって悩むこともあるからな。」

「わかってくれるか…嬉しいよ。
近いうちに家のことを片付けて、この町を離れようと思ってた時にあんたに出会った。
あの時、あんたに言われたこと…本当に驚いたんだ。
帰ってからもあんたに言われたことが気になって頭から離れなくてな。
それで、ケネスのことを調べに行く事を決めたんだ。
あんたの言ったことがもし本当だったら…ケネスが酷い奴でマージが本当に自殺するようなことになったら、俺は悔やんでも悔やみきれないからな。」

「そ、それで?」

ジュリアンは、身を乗り出してハリーの話に聞き入った。



「それで、ケネスの住む町に行くまでに、病気に効くって噂の温泉があるんで、ついでにおふくろも連れて行ったんだ。」

「そうだったのか!
大きな荷物を持って出たって聞いたから、俺はてっきりあんた達がこの町を出て行ったのかと思ったぜ。」

「詳しい事情は誰にも言わなかったんだ。
ケネスの住む町に着いて、俺は奴の噂を聞いて回った。
それは、本当に驚くような内容だったんだ。
ケネスはとにかく女癖が悪く、まだガキの頃から女を犯しては、それを父親が金でもみ消したりしていたらしいんだが、中にはそれが原因で自殺した女もいたって話だ。
しかも、取り立ての時のケネスと来たら、まさに鬼だそうで、あの町でケネスのことを良く言う奴なんて一人もいなかった。
今までにも何度か結婚してた事があるらしいんだが、妻に暴力をふるったり女癖が原因で、皆、しばらくすると出て行ったらしいんだ。
出て行ったとされる者の中には、実は出て行ったのではなく殴り殺された者もいるって噂もあるらしい。
俺は、その話を聞いて震えが来たぜ。」

「そ、そんなに悪い奴だったのか!」

「あぁ、そうだ。
そんな恐ろしい奴にマージを渡すわけにはいかない。
ケネスの借金は俺がどんなことをしても働いて払ってみせる。」

「そして、マージを幸せにするんだな?!」

「そ…それは…」

ハリーの声は急に小さくなり、口ごもる。



「おいおい。この期に及んで、何を言ってやがるんだ!
あんたがマージを守っていかなくてどうするんだよ!」

「しかし…こんな俺なんかに…」

「安心しろ。
マージはあんたのことを愛してるから。
この前言っただろ?
あんたは愛する女と結婚して幸せになるんだって…」

「あ…あぁ…それじゃあ、マージは俺と結婚したら幸せになれるんだな?」

「あぁ、俺の予言は今まではずれたことがないんだからな!」



二人は顔を見合わせて笑った。
ハリーの笑顔はとても満ち足りたものだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

令嬢失格な私なので

あんど もあ
ファンタジー
貴族の令息令嬢が学ぶ王都学園。 そこのカースト最下位と思われている寮生の中でも、最も令嬢らしからぬディアナ。 しかしその正体は……。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

処理中です...