Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

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008. さらなる力

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それからのアーロンは、まさに別人のようだった。
どれほど熾烈な戦場でも、アーロンはかすり傷一つ負わない。
 剣を振り回し敵兵を倒す様は、鬼神以外の何者でもなかった。



そんなアーロンに、周りの者は称賛の言葉を送った。
だが、しばらくすると、アーロンの周りから、人々が消えていった。



アーロンの活躍ぶりは、それほど異常なものだったのだ。
 人々は、アーロンを畏れるようになった。



そんなある日のこと…
アーロンとフィリスのが会っているところに、数人の男達が現れた。



 「アーロン・マコーリーはおまえか?」

 「はい、そうですが、何か?」

 「おまえを裁判にかける。」

 「さ、裁判?どうしてです!?
 僕が何をしたって言うのです?」

 「おまえには魔女の嫌疑がかかっている。
さぁ、立て!詳しいことは教会で聞く!」

 男達に捕らえられ、アーロンは縄をかけられた。
アーロンの青い顔がひきつる。
 魔女の嫌疑がかけられた者は、まず戻って来ることは出来ない。
どれだけ潔白を叫ぼうと、拷問にかけられ自白に追い込まれるからだ。



 「ま、待って下さい!」

フィリスは男達に取りすがった。



 「だめだ!フィリス!」

 叫んだアーロンの鳩尾に男の重い拳が入り、アーロンは膝を着く。



 「アーロンは無実です!
 私が魔女なんです!
アーロンは私の作った魔力のこもった鎧と剣で、戦っていたのです!」

 「いい加減なことを言うな!」

 「本当です!これを見て下さい!」

フィリスは、その場で大きな火柱を立てて見せた。
 男達は、目を丸くして驚き、そして、フィリスを押さえつけた。
フィリスは抗うことなく、男達に捕らえられた。



やがて、フィリスは裁判にかけられ、火あぶりの刑となった。
アーロンも魔女に与した罪で、同じく火あぶりの刑に処された。



 *



 (思った通り、とても良い魂だ。
しかも、こんなに早く手に入るとは…)



 悪魔は、フィリスの魂を手に、ほくそ笑んだ。
ゆっくりと天に昇って行くアーロンの魂をみつめながら、フィリスの魂は声にならない叫び声を上げた…

 
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