Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

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012. 若き支配者

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「今からそなたがこの国の王だ。」



 「えっ!?」



トーマスは、ぽかんと口を開けたまま、その場に立ち尽くした。



 *



 「この国を救うには、異なる世界から王となる者を呼ぶしかありません。」

 「なんと、異なる世界から…?」



キオーシュ王国は、かつて経験したことのないような大干ばつに襲われていた。
 水は干上がり、土地はひび割れて作物は育たず、水だけではなく、食べるものさえ事欠く始末だ。
 何度も雨乞いの儀式が執り行われたが、何の効果もなかった。
この国のふたつの大きな湖も、水位はかなり下がっている。
このままでは、この国は干上がってしまう…
現状を打破するため、遠い国から有能な祈祷師・アリオラが呼び寄せられた。
 彼女が言うには、この大干ばつは500年程昔にかけられた魔女の呪いのせいであり、その呪いを解くには、こことは異なる世界から選ばれし者を呼び、一月の間、その者をキオーシュの国王に据えるしか手はないと言う。



どんな者かもわからない者を王にすることには心配もあったが、このままでは、この国は滅んでしまう。
 藁にもすがる想いで、国王は、アリオラにすべてを委ねることにした。



 「では、これから儀式に入ります。」



アリオラは、床に魔方陣を描き、王達が見守る中、その真ん中に座ると低い声で呪文を唱え始めた。



 「おぉ…」



 魔方陣が、眩い光を放ち始め、王達はその様子に目を見張る。
そして、しばらくすると、その光は一際眩しいものに変わり、王達は思わず目を閉じた。



 「あっ!」

 眩しい光がおさまり、王達が再び目を開いた時…
そこにはまだ幼い子供が立っていた。
 子供は、この国では見かけることのない面妖ないでたちをしていた。



 「……おじさん達、誰?
ここは、どこ?」

 「ここは、キオーシュの城の中だ。
 私は、王のハマーだ。」

 「ハマー…?」

 子供は、ハマーの顔をじっとみつめる。



 「そなた、名はなんという?」

 「僕、トーマス。」

 「トーマスか…良いか…
今からそなたがこの国の王だ。」

 「えっ!?」
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