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ルカ(聖夜月ルカ)

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027. 昏き理(くらきことわり)

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「ありがとう、玲ちゃん!じゃ、前向きに考えてみるね!」

「そうじゃなくて…!
そうだ!来週の土曜なんてどう?!
ちょうど3連休だし、その日にしようよ!ね!」

「…でも、まだその日は…」

「さっき、あんた言ってたじゃない。
3連休は暇だって。」

「…うん…今の所は…だけどね…」

「じゃ、決定ね!
来週の土曜日!
時間と場所はなるべく近いうちに向こうと話し合って決めるから。
決まったら連絡するね!」

「………うん」



面倒なことになった。
彼女は何がなんでも私に「イイ人」を会わせるつもりらしい。

まぁ、当日急に体調が悪くなったことにでもすればいいが、あの調子なら彼女はその後も諦めはしないだろう…
今回断っても、きっとまた日を変えて何度も何度も同じ事を言ってくるに違いない。
私がその人に会うまでずっと…

本当に面倒だ…
どうしたものか…

そんな胸になにかがつかえたような不快な日々を過ごしている時に、私は彼と突然出会った。
少し離れた大きな本屋まで足を伸ばしたその日のことだった。



これはきっと運命の出会いなんだ…



私は勝手にそんな風に考えていた。

彼は、私に似た瞳をしていた。
ごく自然に振る舞ってはいるものの、決して誰のことも信じてはいない…
誰にも本当の心をさらけ出すことのない哀しい瞳…



あの人ならきっと私のことを理解してくれる…



そんなの、ただの思い込みかもしれない。
なのに、私にはそれが確信のように感じられた。
とにかく、私が一目で彼にひかれたことは事実なのだ。
重要なのはそのことだけ。
その事実だけがあれば、他のことなんてどうでも良い…

私は次の日から、彼についての情報を探り始めた。
まるでストーカーのように密やかに。

そして、知り得た情報を元にすぐに行動に移す。
なんせ私には時間はないのだから…
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