Gift

027. 昏き理（くらきことわり）

１

「うそっ！マジ？
全然知らなかった！
一体、いつからなのぉ？！」

「ねぇねぇ、どんな人？
どうやって知り合ったの？」

「どこの学校の人なのよっ？」

数人のクラスメイトが真由紀の周りに群がり、さながら芸能リポーターのようにくだらない質問を浴びせかけている。
今日の真由紀はいつもの地味な彼女とは違って、幸せそうで少し輝いているようにも見える。

一応、私もその輪の外縁に交わり、にこにこと微笑みながら皆の話に耳を傾けていた。



本当は興味なんて全然ないんだけど…



クラスメイトの話題といえば、芸能人の噂話におしゃれの話、そして、彼氏の話…
彼氏がいないということは、この年になるとまるで恥ずかしいことのように思われている。
人がどう思おうとそんなことは私には興味のないことなのだけど、世の中にはおせっかいなタイプというのがいて、そういう人達が私にも「イイ人」を紹介してくれようとする。
きっと、彼女達は彼氏のいない可哀想な私に「イイ人」を紹介することによって、ちょっとした優越感みたいなものに浸るのだろう…馬鹿みたい…

彼女達の価値観と私の価値観は明らかに違う。
だから、彼女達が私の紹介してくれようとしている「イイ人」がどんな感じの人なのかは容易に見当がつく。
そんな「イイ人」、私には必要ないのに…

…でも、私は自分の感情をそのまま打ち明けるような事はしない。

「…私、恥ずかしいから良いよぉ～」
「私にはまだ早いから…」
「何しゃべったらいいか、わからないし…」

いろいろと適当なことを言ってその場をしのいできたが、彼女達は思いの外しつこかった。



「水青（みなお）、あんた、そんなこと言ってるうちにあっと言う間に年とっちゃうのよ！
おばさんになったら、もう誰も相手になんかしてくれないんだから！」

「おばさんって…だって、私達まだ１７じゃない…」

「二十歳過ぎればもう立派なおばさんよ！
楽しむのは若いうち！
ね、会うだけでいいから、一度会ってみなよ。
気に入らなかったら、またすぐに別の人探してあげるから！」