Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

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030. 不浄なる痕

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 「輝…どうしてなんだ?」

 「どうしてって…何のことだ?」



 次の日の放課後…僕は、輝を屋上に呼び出した。



 「僕…わかったんだ。
 誰が、澪を殺したのか…」

 輝の目が大きく見開かれた。



 「……それで……誰が殺したって言うんだ?」

 輝が僕をじっとみつめる。



 「……君だ。」

 僕がそう言うと、輝は大きな声を上げて笑った。



 「馬鹿なことを言うな。
 澪は僕の妹だぞ。
しかも…澪はレイプされていた。」

 「そうだ…だから、まさか君が犯人だなんて誰も思わなかった。
だけど…澪のダイイングメッセージを考えると、君が犯人だとしか思えない。」

 「ダイイングメッセージ…?何のことだ?」

 「澪の胃の中から、小さなムーンストーンがみつかったらしい。
それって、君が澪にあげたストラップの石だよね?
 澪は、君に殺されると予感し、それで君が犯人だということを伝えるために、あの石を飲んだんだ。」

その時の輝の動揺は激しいものだった。
 顔色は真っ青になり、滝のような汗が噴き出している。
きっと、石のことは警察からも聞いていなかったのだろう。
 残念だけど、僕の推理は間違ってはいないと、僕はその時確信した。



 「……輝……どうしてそんなことを?
 一体、何があったんだ?」

 輝は俯き、しばらく黙ってたが…やがて、顔を上げ、僕に笑顔を見せた。
その場には不釣り合いな笑顔がどこか怖ろしかった。



 「……澪が悪いんだ。
 澪があんなことを言うから…」

 「あんなこと…?」

 輝は頷く。



 「澪は言ったんだ。
 彼氏が出来たって…
そんなこと……赦せるわけないだろう!?」

 強い口調でそう言った輝の顔は、いつもとは違って見えた。



 「僕はずっと澪のことを愛していた。
この世の誰よりも深く…
僕らは母親のお腹にいる時から、ずっと一緒だった。
 誰よりも強い絆で結ばれた運命の相手だったんだ。
……それなのに、澪は僕を裏切ろうとした!」

 輝の激しい憤りに、僕は恐怖のようなものを感じた。
 彼はなおも言葉を続ける。



 「だから、僕は澪を抱いた。
そうすれば、澪も僕が運命の相手だと思い出すと思ったからね。
だけど、澪は気付かなかった。
 泣いて叫んで、僕を罵倒しまくった。
 僕だって、澪を殺したくなんてなかったよ。
でも…澪は、やめなかった…
僕のことを酷い言葉で罵り続けたんだ…だから、僕もついかっとして…」

 輝は固く拳を握り締め、唇を震わせた。
 彼の告白を聞き、僕はいたたまれない気持ちになった。
ここへ来るまで、僕はずっと祈っていた。
どうか、僕の推理が外れているように、と。
だけど、やはり僕の思った通りだった。
 彼が澪を殺したんだ…そう思うと、彼の姿がぼやけて見えた。



 「中田さんを呼び出したのも君なのか?」

 「……そうだよ。
 澪を殺してから、LINEで奴を家に呼び出した。
 僕は裏口から抜け出して、事件発覚後に家に戻った。」

 「なぜそんな偽装を…」

 「あいつのせいで澪は死んだようなものなんだぞ!
 罰を受けて当然だ!」

なんて理不尽な言い分なんだろう…いつもの輝とは別人みたいだ。



 「……じゃあ、僕も殺すかい?
 僕は真相に気付いてしまった…」

その時、意外にも輝の目がふっと優しいものに変わった。
いつも通りの穏やかな目に…



「そんなこと、するはずないじゃないか。
 君には、ターコイズをあげたよね。
あれは、親愛なる友に贈る『友情の石』なんだよ。」

 「そうなんだ。
……それじゃあ…ムーンストーンは?」

 「……『愛を伝える石』だよ…」

 輝は、高い空に視線を移した。



 「智司……ひとりにしてくれないか?」

 「え?でも……」

 「大丈夫だよ。警察には本当のことを話すから…その前に少し心の整理をしたいんだ。」

 「そうか、わかった…」

 僕は、彼に言われるままに、屋上を後にした。
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