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032. 指輪
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「お客さん…」
「あ…!すみません。
……これ、いただきます!この指輪を下さい!」
シルヴィは自分のセンスにはあまり自信がなく、目利きも出来る方ではなかったので、市での買い物はいつもポリーヌに頼っており、そんな自分が一人でこんなに早く決断出来た事は珍しいことだった。
(それだけ気に入ったってことよね…
だって…こんなに綺麗なんですもの…)
支払いを済ませたシルヴィは、指輪を指にさしたままにしておいた。
何度見ても嬉しくて、つい顔がほころんでしまう。
早く、この素敵な指輪をポリーヌに見せたいのに、ポリーヌは一体どこにいるのか…
(そうだわ!この指輪は確か7つの願いが叶うって言ってたわ…!
指輪さん、どうかポリーヌを探して!)
「シルヴィ!こんな所にいたの!」
「ポリーヌ!」
振り返るとそこにはポリーヌが立っていた。
(まさか…もう願いが叶ったっていうの?!)
「シルヴィ、どこに行ってたの?
私、ずっと探してたのよ!」
「あ…ごめんね。
実は、私ね…ほら!見て!
私、この指輪を買ったの!
とても綺麗でしょう?」
「あ!本当だ!
とても綺麗じゃない!
いくらしたの?」
シルヴィはにっこりと微笑み、ポリーヌの耳元で指輪の値段を囁いた。
「えっ!そんなに?!」
「そんなに…って、だって、この指輪…」
「そりゃあとても綺麗だけど、こんな所で買った指輪なんてガラス玉に決まってるじゃない。
ガラス玉にしては高いわよ!」
「そ…そうなの…これ、ガラス玉なの?
でも、お店の人が、これは妖精が虹の欠片を集めて作ったって言い伝えの指輪だって…」
ポリーヌはシルヴィのその言葉に、大きな声をあげて笑い出した。
「シルヴィ!妖精なんて御伽噺でしかないのよ。
虹だって、あれは気象現象の1つで、物質じゃないのよ。
掴めるものじゃないの!……わかる?」
「……わかってるわよ、そんなこと!
でも、宝石にはそういう言い伝えが多いからそれで…」
「まぁ、良いじゃない!
ガラスにしては高級品よ!」
ポリーヌにそう言われ、シルヴィの今までのうきうきと弾んだ気持ちは脆くも崩れ去ってしまった。
楽しいはずの市も、もうちっとも楽しくは感じられない。
一休みのお茶を飲もうとした時、シルヴィはさらに悪いことに気が付いた。
「あ…!すみません。
……これ、いただきます!この指輪を下さい!」
シルヴィは自分のセンスにはあまり自信がなく、目利きも出来る方ではなかったので、市での買い物はいつもポリーヌに頼っており、そんな自分が一人でこんなに早く決断出来た事は珍しいことだった。
(それだけ気に入ったってことよね…
だって…こんなに綺麗なんですもの…)
支払いを済ませたシルヴィは、指輪を指にさしたままにしておいた。
何度見ても嬉しくて、つい顔がほころんでしまう。
早く、この素敵な指輪をポリーヌに見せたいのに、ポリーヌは一体どこにいるのか…
(そうだわ!この指輪は確か7つの願いが叶うって言ってたわ…!
指輪さん、どうかポリーヌを探して!)
「シルヴィ!こんな所にいたの!」
「ポリーヌ!」
振り返るとそこにはポリーヌが立っていた。
(まさか…もう願いが叶ったっていうの?!)
「シルヴィ、どこに行ってたの?
私、ずっと探してたのよ!」
「あ…ごめんね。
実は、私ね…ほら!見て!
私、この指輪を買ったの!
とても綺麗でしょう?」
「あ!本当だ!
とても綺麗じゃない!
いくらしたの?」
シルヴィはにっこりと微笑み、ポリーヌの耳元で指輪の値段を囁いた。
「えっ!そんなに?!」
「そんなに…って、だって、この指輪…」
「そりゃあとても綺麗だけど、こんな所で買った指輪なんてガラス玉に決まってるじゃない。
ガラス玉にしては高いわよ!」
「そ…そうなの…これ、ガラス玉なの?
でも、お店の人が、これは妖精が虹の欠片を集めて作ったって言い伝えの指輪だって…」
ポリーヌはシルヴィのその言葉に、大きな声をあげて笑い出した。
「シルヴィ!妖精なんて御伽噺でしかないのよ。
虹だって、あれは気象現象の1つで、物質じゃないのよ。
掴めるものじゃないの!……わかる?」
「……わかってるわよ、そんなこと!
でも、宝石にはそういう言い伝えが多いからそれで…」
「まぁ、良いじゃない!
ガラスにしては高級品よ!」
ポリーヌにそう言われ、シルヴィの今までのうきうきと弾んだ気持ちは脆くも崩れ去ってしまった。
楽しいはずの市も、もうちっとも楽しくは感じられない。
一休みのお茶を飲もうとした時、シルヴィはさらに悪いことに気が付いた。
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