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ルカ(聖夜月ルカ)

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034. 迷いの森の守護者

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誰も知らない森の奥深く…
人間の世界とは少し違った不思議な場所に、妖精達の棲む村があった…



「お呼びですか?長老様。」

初めての呼び出しに緊張しているのか、その者はどこか強張った表情をしている。



「よく参った、エルミナ。
他でもない。
今日はおまえに任務を与える。
今日からおまえはの迷いの森に赴き、そこで森の守護者として働くのじゃ。」 

白く長い髭に顔半分を覆われた長老が、低く響く声でそう言った。



「ええええーーーーっっ!!」



長老の思いがけないその言葉に、当のエルミナばかりか長老の後ろに控えていた側近のラヴァンまでもが同時に驚きの声を上げた。



「ぼ、ぼ、ぼ、僕がでございますか!?
僕が森の守護者に…?」

「そうじゃ。
おまえも妖精として、そろそろ一人立ちしても良い頃じゃ。
ちょうど、前任のミューズが、先日、500年の任期を満了したのでな。
その後任におまえを選んだということじゃ。
さ、これが、迷いの森の地図じゃ。
この通りに進めば、祠にたどり着く。
500年間、しっかり頼んだぞ。
では、行くが良い。」

長老は有無を言わせぬ態度でそう言うと、そそくさと祠へ戻って行った。



(僕が守護者に…
長老が、僕のことをそんなに認めていて下さったなんて…!)

エルミナは込み上げる感激を噛み締めながら、森の地図を握り締めた。







「長老、よろしいのですか?
あのような若い者に森の守護が務まるのですか?
エルミナは真面目で几帳面な者だとは聞いておりますが、能力的にも特に優れてはおりませんぞ。
どちらかといえば、真面目しか取り柄がないように思えますが、なぜにそのような者に森の守護者などという大役を…」

「……おまえもまだ青いな。
昔と今では状況が相当変わって来ておる。
最近は、森に悪い魔物が棲みつくようなこともなければ、あの森のことはすでに人間達もよく知っておる故、迷い込む者はおろか、森に近付く者さえおらぬと聞く。
ミューズの話によると、最後の150年程は森を訪れる者は一人もいなかったということじゃ。
つまり、森の守護者の仕事は今ではほぼないという事なんじゃ。」

「そう言われればそうでございましたな。
ミューズ様もよほど暇だったのか、現地で作ったという木彫りの像を、皆、山ほどいただきました。」

「……ほれ、あそこにもあるぞ。」

そう言って、長老は、部屋の片隅を指差した。
そこには、たくさんの木彫り像が山と積まれていた。


 
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