223 / 697
034. 迷いの森の守護者
4
しおりを挟む
(そうだ、森の地図を持っていかなくては…)
そう考えたのと同時に、エルミナはあることに思い当たった。
(僕、あの地図をどこに置いたんだっけ?)
いつもは極めて几帳面なエルミナだったが、重大な役目を仰せ付かった興奮のためか、それともあの酷い現状を目の当たりにしてしまったせいなのか、地図を不用意にどこかに置いてしまったようだ。
そして、それがみつからないということは…おそらくはゴミと一緒に焼いてしまったのだと思われる。
(ど…どうしよう…?!
ま、ま、まさか…本当に焼いてしまったのか?)
もうみつからないだろうとは思いつつ、それでもエルミナは森の地図を探し続けた。
やがて、一週間が経ち……
諦めの悪いエルミナもついに諦め、森の中を歩き始めた。
しかし、何日も歩きまわった末に辿りついたのは、無情にも元の祠の前だった…
その場に深い溜息を一つ残し、エルミナはまた森の中を歩き始めた。
今度は祠には戻らなかったが、何日歩き続けても森が途絶えることはなかった…
そんなある日…エルミナは、森の中で湖を発見する。
(こ、これは、もしかしたら水龍のための湖なのか?
ほとんど出来あがってるじゃないか!
そうだ…この分ではいつこの森から出られるかわからないし…
それなら、ここで水龍を孵してみるか…
こんなに時が経ってしまったんじゃ、孵るかどうかわからないけど…)
エルミナは、水際に腰を降ろし、水龍の卵を湖の中にそっと沈めた…
透き通った水の中を、水色の卵はゆっくりと沈んで行く…
(どうか、水龍が無事に孵りますように…)
それからのエルミナは、湖の傍で生活を始めた。
毎日、湖面をのぞき込むのがエルミナの日課のようになっていた。
(やっぱり、時が経ち過ぎてたか…)
変化のない湖にエルミナが諦めかけた頃、湖の中央がぶくぶくと泡立ち、やがてそこから小さな龍の子がひょっこりと顔を出した。
「い、生きてたのか!」
龍の子は、エルミナの顔を見ると、すいすいと水面を滑るように泳いで近寄って来た。
エルミナは、水際まで来た龍の子の頭を愛しげに撫でる。
「これからは、僕がおまえの親だからな。」
そう考えたのと同時に、エルミナはあることに思い当たった。
(僕、あの地図をどこに置いたんだっけ?)
いつもは極めて几帳面なエルミナだったが、重大な役目を仰せ付かった興奮のためか、それともあの酷い現状を目の当たりにしてしまったせいなのか、地図を不用意にどこかに置いてしまったようだ。
そして、それがみつからないということは…おそらくはゴミと一緒に焼いてしまったのだと思われる。
(ど…どうしよう…?!
ま、ま、まさか…本当に焼いてしまったのか?)
もうみつからないだろうとは思いつつ、それでもエルミナは森の地図を探し続けた。
やがて、一週間が経ち……
諦めの悪いエルミナもついに諦め、森の中を歩き始めた。
しかし、何日も歩きまわった末に辿りついたのは、無情にも元の祠の前だった…
その場に深い溜息を一つ残し、エルミナはまた森の中を歩き始めた。
今度は祠には戻らなかったが、何日歩き続けても森が途絶えることはなかった…
そんなある日…エルミナは、森の中で湖を発見する。
(こ、これは、もしかしたら水龍のための湖なのか?
ほとんど出来あがってるじゃないか!
そうだ…この分ではいつこの森から出られるかわからないし…
それなら、ここで水龍を孵してみるか…
こんなに時が経ってしまったんじゃ、孵るかどうかわからないけど…)
エルミナは、水際に腰を降ろし、水龍の卵を湖の中にそっと沈めた…
透き通った水の中を、水色の卵はゆっくりと沈んで行く…
(どうか、水龍が無事に孵りますように…)
それからのエルミナは、湖の傍で生活を始めた。
毎日、湖面をのぞき込むのがエルミナの日課のようになっていた。
(やっぱり、時が経ち過ぎてたか…)
変化のない湖にエルミナが諦めかけた頃、湖の中央がぶくぶくと泡立ち、やがてそこから小さな龍の子がひょっこりと顔を出した。
「い、生きてたのか!」
龍の子は、エルミナの顔を見ると、すいすいと水面を滑るように泳いで近寄って来た。
エルミナは、水際まで来た龍の子の頭を愛しげに撫でる。
「これからは、僕がおまえの親だからな。」
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ガチャから始まる錬金ライフ
あに
ファンタジー
河地夜人は日雇い労働者だったが、スキルボールを手に入れた翌日にクビになってしまう。
手に入れたスキルボールは『ガチャ』そこから『鑑定』『錬金術』と手に入れて、今までダンジョンの宝箱しか出なかったポーションなどを冒険者御用達の『プライド』に売り、億万長者になっていく。
他にもS級冒険者と出会い、自らもS級に上り詰める。
どんどん仲間も増え、自らはダンジョンには行かず錬金術で飯を食う。
自身の本当のジョブが召喚士だったので、召喚した相棒のテンとまったり、時には冒険し成長していく。
10秒で読めるちょっと怖い話。
絢郷水沙
ホラー
ほんのりと不条理な『ギャグ』が香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる