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040. 月の慰め
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(私のせいだわ…私があんなことをしたから…)
エレーヌは遠い昔の思いを馳せる…
年頃になったエレーヌは、同じ町に住むジャンと交際を始めた。
ジャンはとても優しく真面目な男性で、エレーヌは彼といるととても落ち着いた気分になれた。交際は順調に進み、ごく自然に結婚の話が持ち上がった。
彼には何の不足もなかったが、エレーヌにはひとつだけ気がかりなことがあった。
彼の家はエレーヌの家と同様に貧しく、しかも、彼の母親は病気で寝たきりだった。
彼の稼ぐ金はほとんど母親の治療費に消えてしまう。
貧乏には慣れているとはいえ、結婚してもまた貧しい生活をすることになるのかと思うと、エレーヌはどこか結婚に踏み切れない想いを感じていた。
そんなある時、エレーヌに別の出会いが訪れた。
トリスタンは隣町の金持ちで、外見だけではなく性格もジャンより派手で積極的だった。
知り合ってまだあまり間がないというのに、トリスタンはエレーヌに求婚した。
ジャンとは違い、熱烈なプロポーズだった。
「僕と結婚したら、君は世界一幸せな女性になれる。」
その言葉に、エレーヌは酔いしれた。
実際、そうなればもうお金のことで心配する事もなくなる。
実家にも援助が出来る…そう考えたエレーヌははトリスタンの求婚を受け入れた。
夢にも思わなかった幸運…華やかな結婚式…エレーヌには人生が薔薇色に見えた。
ところが、嫁ぎ先ではエレーヌの家が貧しいことでトリスタンの両親や身内から馬鹿にされ、陰湿な苛めを受けた。
それでも、エレーヌはくじけなかった。
せっかく手に入れた夢のような暮らしをそんなことで手放せるはずがなかった。
そのうちファビエンヌが生まれ、トリスタンもそのことをたいそう喜びエレーヌは幸せに包まれた。
ところが、生まれて数年後にファビエンヌの身体に異変が現れ、それが原因不明の病だとわかると、トリスタンの態度はだんだん冷たいものに変わって行った。
トリスタンは家に戻らない日が多くなり、やがて屋敷に女性を連れこむようになった。
それでなくとも、実の子が病気で苦しんでいるというのにそれをなんとも思わない夫に対して、エレーヌの愛情はもう残ってはいなかった。
僅かな金と荷物を持って、エレーヌは家を出た…
いくつかの町を渡り歩き、エレーヌは月の祠のことを知り、その町に移り住んだ。
(すべて私のせいなんだわ…
私がジャンにあんな酷い仕打ちをしたからこんなことになったんだわ…)
エレーヌはいつもそうやって自分を責めた。
エレーヌは遠い昔の思いを馳せる…
年頃になったエレーヌは、同じ町に住むジャンと交際を始めた。
ジャンはとても優しく真面目な男性で、エレーヌは彼といるととても落ち着いた気分になれた。交際は順調に進み、ごく自然に結婚の話が持ち上がった。
彼には何の不足もなかったが、エレーヌにはひとつだけ気がかりなことがあった。
彼の家はエレーヌの家と同様に貧しく、しかも、彼の母親は病気で寝たきりだった。
彼の稼ぐ金はほとんど母親の治療費に消えてしまう。
貧乏には慣れているとはいえ、結婚してもまた貧しい生活をすることになるのかと思うと、エレーヌはどこか結婚に踏み切れない想いを感じていた。
そんなある時、エレーヌに別の出会いが訪れた。
トリスタンは隣町の金持ちで、外見だけではなく性格もジャンより派手で積極的だった。
知り合ってまだあまり間がないというのに、トリスタンはエレーヌに求婚した。
ジャンとは違い、熱烈なプロポーズだった。
「僕と結婚したら、君は世界一幸せな女性になれる。」
その言葉に、エレーヌは酔いしれた。
実際、そうなればもうお金のことで心配する事もなくなる。
実家にも援助が出来る…そう考えたエレーヌははトリスタンの求婚を受け入れた。
夢にも思わなかった幸運…華やかな結婚式…エレーヌには人生が薔薇色に見えた。
ところが、嫁ぎ先ではエレーヌの家が貧しいことでトリスタンの両親や身内から馬鹿にされ、陰湿な苛めを受けた。
それでも、エレーヌはくじけなかった。
せっかく手に入れた夢のような暮らしをそんなことで手放せるはずがなかった。
そのうちファビエンヌが生まれ、トリスタンもそのことをたいそう喜びエレーヌは幸せに包まれた。
ところが、生まれて数年後にファビエンヌの身体に異変が現れ、それが原因不明の病だとわかると、トリスタンの態度はだんだん冷たいものに変わって行った。
トリスタンは家に戻らない日が多くなり、やがて屋敷に女性を連れこむようになった。
それでなくとも、実の子が病気で苦しんでいるというのにそれをなんとも思わない夫に対して、エレーヌの愛情はもう残ってはいなかった。
僅かな金と荷物を持って、エレーヌは家を出た…
いくつかの町を渡り歩き、エレーヌは月の祠のことを知り、その町に移り住んだ。
(すべて私のせいなんだわ…
私がジャンにあんな酷い仕打ちをしたからこんなことになったんだわ…)
エレーヌはいつもそうやって自分を責めた。
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