Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

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043. 妾腹の王族

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「私は、こっちの方へ行く。
おまえは、皆と向こうへ行きなさい。」

「わかりました。」



気乗りしない狩りに、無理に連れ出されたアンドレアスは、森の中をただ一人で歩いていた。



(なぜ、こんなつまらない遊びのために生き物の命を犠牲にせねばならんのだ…)



動物や植物、自然を愛するアンドレアスにとって狩りは苦痛そのものでしかない。
やめろというわけにはいかないまでも、せめて自分だけはそんな無益な殺生はしなくないと考えたアンドレアスはいつも一人別行動をし、一匹も仕留められなかったと嘘を吐くのだった。
カイラは、そんなアンドレアスとは違い、狩りや剣術が一番の趣味だ。
しょっちゅう誘いをかけてくるカイラにいつも様々な口実を付けては断って来たが、今回はイングリッドの父親も来ていることから断りきれなかったのだ。

使う気のない弓を手に、アンドレアスはゆっくりと森の中を歩いていた。



「危ないっ!!」



突然聞こえた叫び声…アンドレアスには何が起こったのかわからなかった。
何者かが自分の身体の上に覆い被さると同時に風を切る音が続け様に飛び交い…そして、その場から慌ただしく走り去る数人の足音が聞こえた。


アンドレアスはやっと自分の身に起こったことを理解した。
起き上がってみると、近くの木には数本の矢が刺さっていた。




「大丈夫ですか?」

「あぁ、私なら大丈夫だが、君は大丈夫か?」

「ええ…なんともありません。」

アンドレアスを救ったのは、穏やかな笑顔で微笑む青年だった。
その笑顔を見た時、アンドレアスの心の中でなにかがざわめいた。



(ま…まさか…そんな馬鹿なことが!)



「どうかなさいましたか?」

「き…君は今、いくつだ?」

「僕は今年で二十歳です。」

「二十歳…!!
では…名は?
名は何という?」

「僕の名前…ですか?
ゼトラと言いますが…」

「ゼトラ…!!
……生きていたのか…!!」

アンドレアスは、こみあげる涙をこらえることが出来なかった。
その様子に、ゼトラは目を丸くしてアンドレアスをみつめていたが、やがて、彼の瞳が一際大きく見開かれた。



「ま…まさか…
あなたは、僕の…」

アンドレアスは、ゼトラの言わんとすることを理解したのか、何度も頷きながら、ゼトラの方に両手を差しのばした。



「父さん!!」

「ゼトラ…!!」




アンドレアスとゼトラは固く抱きあい、ひさしぶりの温もりを感じた。
十数年の熱い思慕の感情が涙に変わってお互いの頬を伝う…
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