298 / 697
045. ヤマタノオロチ
7
しおりを挟む
深い緑色をした滝壷のまわりには、乳白色の靄がかかり、この世とは違う世界を感じさせる場所だった。
(ここが龍神の滝…)
「げっっ!」
滝壷を見渡していた剣四郎は思わず声をあげてしまった。
なぜなら、滝壷のすみっこに妙なものをみてしまったから…
ごしごしと目をこすり、深呼吸をしてから再び目を開けた。
「げっっ!」
妙なものも明らかに剣四郎の方を見ている…二人(?)の視線と視線が静かに絡み合う…
「げげげっっ!」
妙なものが剣四郎の方に向かって泳いで来るのを見て、剣四郎は腰を抜かしてその場にへたりこむ。
「……おい、そこの人間?」
「えええ?それって、俺のことですか?」
「当たり前だ、おまえしかおらんだろうが。
もしかして、おまえ、私の姿が見えているのか?」
「いえいえ、俺にはなにも見えてません。」
「嘘を吐くな!
見えるどころか、私の声も聞こえてるじゃないか!」
「いいーえ!俺にはなにも聞こえてません!」
「……そうか。……なら良い。」
恐ろしさのあまり、剣四郎はついそんな嘘を吐いてしまったのだった。
妙なものがまた帰って行こうとする後姿を見て、やっと剣四郎は己の本来の目的を思い出した。
「ま、まって!
見えてます!本当は見えてるし、聞こえてます!!
龍神様、カムバーーーック!」
剣四郎の声に龍神は一瞬立ち止まり、くるりと向き直ると再び剣四郎の元へ戻って来たのだった。
「私も忙しいのだ。余計な手間は取らせぬようにな。
それで、私に何用だ?」
「あの…実は…その…俺…」
「もじもじするな、気色の悪い。なんじゃ、おまえも縁結びか!」
「そ、そ、そうなんです!
女の恋人が欲しいんです!俺を裏切らなくて俺のことを理解してくれて俺だけを愛してくれる女の恋人が…!」
「そうか、わかった。」
「わかったって…俺のその願い叶えて下さるんですか?」
「まぁ、考えておく」
「そうじゃなくて、もっと真剣に…!」
「おまえのように私の姿が見える者は少ないし、叶えてやりたいのは山々なのだがな。
今の私ではどこまで出来るか…」
「どういうことなんですか?」
「話すと長くなるから面倒だ。」
「そんなこと言わずに教えて下さいよ!」
(ここが龍神の滝…)
「げっっ!」
滝壷を見渡していた剣四郎は思わず声をあげてしまった。
なぜなら、滝壷のすみっこに妙なものをみてしまったから…
ごしごしと目をこすり、深呼吸をしてから再び目を開けた。
「げっっ!」
妙なものも明らかに剣四郎の方を見ている…二人(?)の視線と視線が静かに絡み合う…
「げげげっっ!」
妙なものが剣四郎の方に向かって泳いで来るのを見て、剣四郎は腰を抜かしてその場にへたりこむ。
「……おい、そこの人間?」
「えええ?それって、俺のことですか?」
「当たり前だ、おまえしかおらんだろうが。
もしかして、おまえ、私の姿が見えているのか?」
「いえいえ、俺にはなにも見えてません。」
「嘘を吐くな!
見えるどころか、私の声も聞こえてるじゃないか!」
「いいーえ!俺にはなにも聞こえてません!」
「……そうか。……なら良い。」
恐ろしさのあまり、剣四郎はついそんな嘘を吐いてしまったのだった。
妙なものがまた帰って行こうとする後姿を見て、やっと剣四郎は己の本来の目的を思い出した。
「ま、まって!
見えてます!本当は見えてるし、聞こえてます!!
龍神様、カムバーーーック!」
剣四郎の声に龍神は一瞬立ち止まり、くるりと向き直ると再び剣四郎の元へ戻って来たのだった。
「私も忙しいのだ。余計な手間は取らせぬようにな。
それで、私に何用だ?」
「あの…実は…その…俺…」
「もじもじするな、気色の悪い。なんじゃ、おまえも縁結びか!」
「そ、そ、そうなんです!
女の恋人が欲しいんです!俺を裏切らなくて俺のことを理解してくれて俺だけを愛してくれる女の恋人が…!」
「そうか、わかった。」
「わかったって…俺のその願い叶えて下さるんですか?」
「まぁ、考えておく」
「そうじゃなくて、もっと真剣に…!」
「おまえのように私の姿が見える者は少ないし、叶えてやりたいのは山々なのだがな。
今の私ではどこまで出来るか…」
「どういうことなんですか?」
「話すと長くなるから面倒だ。」
「そんなこと言わずに教えて下さいよ!」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
不倫妻への鎮魂歌 ―サレ夫が選んだ、最も残酷で静かな復讐―
MisakiNonagase
大衆娯楽
「サレ夫、再生。不倫妻、転落。──その代償は、あまりに重い。」
「嘘で塗り固めた20年より、真実で歩む明日がいい。」
失って初めて気づく、守られていた日々の輝き。
46歳の美香にとって、誠実な夫と二人の息子に囲まれた生活は、退屈で窮屈な「檻」だった。若い男からの甘い誘惑に、彼女は20年の歳月を投げ打って飛び込んだ。 しかし、彼女が捨てたのは「檻」ではなく「聖域」だったのだ。 不倫、発覚、離婚、そして孤独。 かつての「美しい奥様」が、厚化粧で場末のスナックのカウンターに立つまでの足取りと、傷つきながらも真実の幸福を掴み取っていく夫・徹の再生を描く。 家族とは何か、誠実さとは何か。一通の離婚届が、二人の人生を光と影に分かつ。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる