Gift

047. 大ピンチ！

４

「ランザリーナ、君、まさか…」



思った通りだった。
ランザリーナが降り立ったのは、あの封印の洞窟の前だった。



「本当ね！
夜は番兵さん達はいなくなるのね！
ま、こんな所に来る者なんて、まずいないでしょうから、当然といえば当然なんだけど…」

ランザリーナは、嬉しそうな顔をして何の躊躇いもなく洞窟の中に入って行こうとする。



「ランザリーナ！一体、何をする気なの？！」

彼女は後ろも振り向かず、ずんずん先に進んで行く。
いくら番兵さん達がいないからって、大胆過ぎる！！
やがて、僕達は、洞窟の一番奥の渦巻きの前に辿り着いた。



「これが、エンパナーダが吸いこまれたっていう渦巻きね！」

ランザリーナは、渦巻きのすぐ近くに顔を寄せて眺めてる。



「危ないよ！ランザリーナ、そんなに近付いたら、エンパナーダと同じ事になっちゃうよ！」

「同じ事？
同じ事って…こういうこと？！」

そういうと、ランザリーナが渦巻きの中に飛びこんだ！！



「ラ、ランザリーナ！！」


僕は心臓が口から飛び出すんじゃないかと思うくらいに驚いた。
なんてことをするんだ！渦巻きの中に自ら飛び込むなんて…！

あぁ、どうしよう！
エンパナーダだけじゃなくランザリーナまでが渦の中に吸い込まれたなんて…
しかも、よりにもよって、その二人を止められなかったのはこの僕で…

こんなことが大人達にバレたら、きっと僕は猫殺しの罪で酷い罰を受けるに違いない。
だけど、そんなことよりも、ランザリーナのことが心配だ！
もちろん、エンパナーダのことも心配だったけど、ランザリーナは女の子なんだから…！



（僕が、彼女を守らなきゃ！！）



本当は彼女の方が僕より強くてしっかりしてることはわかってたけど、その時はとにかく本気でそう思った。
そして、僕は意を決し、しっかりと目をつぶって渦巻きの中に飛び込んだ…！！