349 / 697
051. 黄金の竪琴
1
しおりを挟む
俺はルーク。
ある事情から、ある人物…を探す旅をしている。
俺が行くのは、ちょっとおかしな言い伝えのある場所ばかり…
いや、俺が迷信深いってわけじゃないんだけどな…
(……やっとみつけた!!)
俺が着いた所は、なんてことない小さな町。
でも、今日のこの町は明らかにいつもとは違う。
この町には不似合いな程の人々で、町は賑わっていた。
なぜなら、今日は双子の竪琴奏者がこの村に来てるから。
演奏会が行われる広場にはすでにたくさんの人々が集まり、彼等の演奏が始まるのをいまかいまかと待ちわびている。
「聞いたか?なんでも、双子の演奏を聞くと金持ちになるらしいぜ!」
「あら、私は玉の輿に乗れるって聞いてきたのよ!」
「玉の輿に乗れりゃあ、金持ちになれるじゃないか!」
「あぁ、そうだったわね!
楽しみだわ!
噂の黄金の竪琴を早く見てみたいわ!」
俺の耳元にそんな会話が聞こえてきた。
言っておくけど、俺は金持ちになりたくてここまで来たわけじゃない。
俺には別の理由があるんだ…
やがて、広場に小柄な爺さんが2人現れた。
想像していたのとはかなり違う2人に俺は驚いた。
こんなに年寄りだったとは…
広場にいる大半の客が驚いているようだ。
いや、それとも、このざわめきは片方の爺さんが持つ黄金の竪琴のせいなのか?
黄金の竪琴は、太陽の陽を浴びて眩しい位にキラキラと輝いている。
2人は広場の中心に並んで座り、客に向かって一礼をすると、早速、緩かな曲を奏で始めた。
俺にはうまいとか下手だとかはわからないが、とても心地良い演奏だった。
双子だけあって、2人の息は完璧な程ぴったりと合っている。
やがて、ソロのパートに入った。
まずは、向かって左側のじいさんが白い竪琴を弾いた。
軽快なテンポで、踊りたくなるような楽しい曲調だった。
多分、この爺さん達は、かなりの腕前なんだろうなと俺は思った。
俺は爺さんの演奏に興奮し、自然に拍手を送っていた。
続いて、向かって左側の爺さんが弾き始めた。
今度は、さっきとは打って変わってしっとりとした穏やかな曲調だ。
広場にいた客から、歓声や口笛が沸き上がって、演奏がろくに聞こえない。
なるほど…
この客達は、演奏を聴きに来ていると言うよりは、黄金の竪琴を見に…もっと率直に言えば、黄金の竪琴のご利益を期待して来てるだけなんだろうな…
ある事情から、ある人物…を探す旅をしている。
俺が行くのは、ちょっとおかしな言い伝えのある場所ばかり…
いや、俺が迷信深いってわけじゃないんだけどな…
(……やっとみつけた!!)
俺が着いた所は、なんてことない小さな町。
でも、今日のこの町は明らかにいつもとは違う。
この町には不似合いな程の人々で、町は賑わっていた。
なぜなら、今日は双子の竪琴奏者がこの村に来てるから。
演奏会が行われる広場にはすでにたくさんの人々が集まり、彼等の演奏が始まるのをいまかいまかと待ちわびている。
「聞いたか?なんでも、双子の演奏を聞くと金持ちになるらしいぜ!」
「あら、私は玉の輿に乗れるって聞いてきたのよ!」
「玉の輿に乗れりゃあ、金持ちになれるじゃないか!」
「あぁ、そうだったわね!
楽しみだわ!
噂の黄金の竪琴を早く見てみたいわ!」
俺の耳元にそんな会話が聞こえてきた。
言っておくけど、俺は金持ちになりたくてここまで来たわけじゃない。
俺には別の理由があるんだ…
やがて、広場に小柄な爺さんが2人現れた。
想像していたのとはかなり違う2人に俺は驚いた。
こんなに年寄りだったとは…
広場にいる大半の客が驚いているようだ。
いや、それとも、このざわめきは片方の爺さんが持つ黄金の竪琴のせいなのか?
黄金の竪琴は、太陽の陽を浴びて眩しい位にキラキラと輝いている。
2人は広場の中心に並んで座り、客に向かって一礼をすると、早速、緩かな曲を奏で始めた。
俺にはうまいとか下手だとかはわからないが、とても心地良い演奏だった。
双子だけあって、2人の息は完璧な程ぴったりと合っている。
やがて、ソロのパートに入った。
まずは、向かって左側のじいさんが白い竪琴を弾いた。
軽快なテンポで、踊りたくなるような楽しい曲調だった。
多分、この爺さん達は、かなりの腕前なんだろうなと俺は思った。
俺は爺さんの演奏に興奮し、自然に拍手を送っていた。
続いて、向かって左側の爺さんが弾き始めた。
今度は、さっきとは打って変わってしっとりとした穏やかな曲調だ。
広場にいた客から、歓声や口笛が沸き上がって、演奏がろくに聞こえない。
なるほど…
この客達は、演奏を聴きに来ていると言うよりは、黄金の竪琴を見に…もっと率直に言えば、黄金の竪琴のご利益を期待して来てるだけなんだろうな…
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ガチャから始まる錬金ライフ
あに
ファンタジー
河地夜人は日雇い労働者だったが、スキルボールを手に入れた翌日にクビになってしまう。
手に入れたスキルボールは『ガチャ』そこから『鑑定』『錬金術』と手に入れて、今までダンジョンの宝箱しか出なかったポーションなどを冒険者御用達の『プライド』に売り、億万長者になっていく。
他にもS級冒険者と出会い、自らもS級に上り詰める。
どんどん仲間も増え、自らはダンジョンには行かず錬金術で飯を食う。
自身の本当のジョブが召喚士だったので、召喚した相棒のテンとまったり、時には冒険し成長していく。
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる