Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

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051. 黄金の竪琴

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爺さん達は一生懸命に演奏しているのに、気の毒な話だ。

結局、爺さん達の演奏会は、小1時間程で終わった。

歓声と拍手に見送られ、爺さん達が広場から出て行こうとすると、向かって右側の爺さんの方に皆が群がり始めた。
黄金の竪琴に向かってなにやらブツブツと祈っている者や、爺さんに何事か話しかけている者、黄金の竪琴に触れようとする者と様々だ。

俺は、そんな爺さんを横目で見ながら、もう一人の白い竪琴の爺さんの所に歩み寄った。
すると、反対側から、一人の若い男が俺と同じように歩いてきたのだ。

「この竪琴に触れた者には、祟りがありますぞ!」

黄金の竪琴を持つじいさんが大きな声でそう叫ぶと、その場が一瞬で静まり動きが止まった。



「あんた方はあちらではなく、なぜこちらに…?」

「俺はちょっと聞きたいことがあって…」

「私はあなたの竪琴に興味をひかれました。」

「そうですか…それでは、向こうで話しましょうか?」

爺さんが手を挙げて合図を送ると、「今日はこれまでです。皆様に黄金の竪琴の幸運が舞い込みますように…!」そう言って、黄金の竪琴を持った爺さんもついてきた。

人々もそれをきっかけに四方に散らばっていく。
もう気が済んだのか、爺さんのきっぱりとした態度に黄金の竪琴を見る事を諦めたのか、人々は家路に着きはじめた。



俺達は、大きな木の木陰に腰を降ろした。

「私はマシューという者です。
まだ未熟ではありますが、あなた方と同じく竪琴の奏者です。
今日の演奏にはとても感動しました!
特に、この竪琴の音色は素晴らしい。
私が今まで聴いた中で最高のものでした!
この竪琴は、一体、どこで手に入れられたのですか?」

「黄金の竪琴ではなく、こちらのこの竪琴ですか?」

「えぇ…この白い竪琴です。」

「おぉ……!」

男の言葉を聞いて、じいさん達は抱き合い、涙を流している。

なんだ、なんだ?
一体、どういうことなんだ?

「あなたのおかげで、わしらの旅もようやく終えることが出来ます。
本当にありがとうございます。」

「旅を…?一体、どういうことなのですか?」

「実は……」

爺さん達はゆっくりと噛み締めるように話し始めた。 
 
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