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ルカ(聖夜月ルカ)

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059. 明けの明星

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「残念だったな…パトリック神父…」

「お、おまえは!!
まさか、ミシェルの身体に…!!」

「おのれ!悪魔め!!」

ミシェルに近付いたジョナサンの首を、ミシェルはいとも簡単にへし折った。



「本当に脆いものだな、人間の身体というものは…」

転がるジョナサンの遺体を蹴り、ミシェルは燭台を掴むとパトリックの頭に激しい一撃を振り下ろした。







(……ここは……)


パトリックが目を覚ましたのはそれから数日が経った頃だった。


「あなた!気が付いたのね!」

「パパーーー!!」

パトリックは、意識を取り戻した途端、全身のひどい痛みにも気がついた。
痛みだけではなく、身体がほとんど動かせないことにも…



「ふふふふふふ……」



母親の不敵な笑い声に、父親にしがみつき泣いていたアシュリーの泣き声がやんだ。



「おまえは、三日も意識が戻らなかったのだ。
その間、おまえの妻は実に良く看病をしていたぞ。
美しき夫婦愛と言った所だな…」

「お…おまえは…ルシファー…!!」

アシュリーは、身体を小刻みに震わせながら、父親に身を寄せている。



「さぁて…これからが楽しいショーの幕明けだ…
……そうそう、ジョナサンは悪魔祓いの最中に悪魔に殺されたことにしておいたぞ。
おまえの妻が手を下したというのは可哀想だったからな…」

「な、なんてことを…」

「おまえには、私の実体を消し去ってしまったことへの礼をしなくてはな。
楽しみにしているが良い…
さ、おまえはこっちだ。」

「い、いやだ!」

「アシュリーに手を出すな!」

「パパ~~!助けて!
ママが…ママが、変だよ!怖いよ!」

「アシュリー…!!」



ミシェルは嫌がり泣き叫ぶアシュリーを引きずるようにして、部屋を出ていった。 
 
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