Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
464 / 697
066. 人形

しおりを挟む
フェルナンとアンヌは結婚した。
ため息が出る程の見事な刺繍が施されたウェディングドレスに身を包み、アンヌはフェルナンと腕を組み、並んで歩く…
その姿を友人達は羨望の眼差しでみつめている。

(フフフ…
皆、とってもうらやましそうな顔をしているわ…
私は、世界一の幸せ者ね…)

アンヌは幸せの絶頂にいた。
それも当然のこと。誰もがうらやむ美しく優しい男性と結婚出来たのだから…
しかも、結婚した途端、フェルナンの仕事の方も信じられない程順調に軌道に乗り出したのだ。

ところが、そんな幸せな日々は長くは続かなかった。
仕事が順調なのは良かったが、フェルナンは忙しく家にもろくに寄り付かないようになってしまったのだ。

たまに出会うのは二人で出かける仕事がらみのパーティだけ。

そして、そこでアンヌは女性達に陰口を叩かれていることに気が付いた。

「フェルナンさんはあんなに素敵なのに、どうしてあんな女性と結婚なさったのかしら?」

彼のまわりには映画に出てきそうな美しい女性達がいつも群がっていた。
どんなに着飾っても、自分はあの女性たちの足元にも及ばない…

そんな想いがアンヌの心を重く苦しめていた。



しばらくすると、フェルナンの両親が異国から移って来た。

義母は事あるごとにアンヌの屋敷を尋ねては、些細なことでアンヌをいたぶる。
アンヌの容姿や生まれ、教養の事など、すべてが義母には気に入らないようだった。

フェルナンには相手にされず、義母には苛められ、広い屋敷にはいても窮屈で息の詰まりそうな毎日…

そして、ある時アンヌは目撃する。
ベッドで他の女性と交わるフェルナンの姿を…

「フェルナン!」

「…ノックくらいしろよ…」

悪びれた顔もせずそう言い放ったフェルナンにアンヌは震えた。

「あなた、何を言ってるの?」

「出ていけ!邪魔だ!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ガチャから始まる錬金ライフ

あに
ファンタジー
河地夜人は日雇い労働者だったが、スキルボールを手に入れた翌日にクビになってしまう。 手に入れたスキルボールは『ガチャ』そこから『鑑定』『錬金術』と手に入れて、今までダンジョンの宝箱しか出なかったポーションなどを冒険者御用達の『プライド』に売り、億万長者になっていく。 他にもS級冒険者と出会い、自らもS級に上り詰める。 どんどん仲間も増え、自らはダンジョンには行かず錬金術で飯を食う。 自身の本当のジョブが召喚士だったので、召喚した相棒のテンとまったり、時には冒険し成長していく。

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

処理中です...