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067. 手紙
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「君は見る目があるね。
これはイタリアの最高級の生地で作ってあるものだから、長く着られるよ。
それに85万っていうのは、定価だよ。
亜里沙の彼氏だったら、定価ってわけにはいかないし…55万…いや、50万で良いよ!
もう仕入れ値割っちゃうけど、これも亜里沙と君のためだ!」
「ありがとう、店長!
良かったね、幸治!!
こんなに安くしてもらえるなんて!」
「でも…僕、お金が…」
幸治は渋ったが、分割で払えば良いと言われ、結局、契約してしまった。
「素敵!やっぱり幸治はスーツが似合うよ!
ヤバイよ!あたし、惚れなおしちゃう。」
新しいスーツを着た幸治はまるで別人になったかのような気持ちを感じていた。
身に付けるものを変えるだけで、こんなに気持ちが変わるとは、幸治にも意外な程だった。
それから、亜里沙にすすめられるままに時計や宝石、そして幸運が舞い込むという絵等を購入した。
それらはすべて亜里沙の紹介した店で買ったものだった。
亜里沙の伝手でより安くしてもらえること、手許に金がなくとも分割払いにしてもらえることが買い物に拍車をかけた。
そんなある日、幸治は見知らぬ男と仲良さげに腕を組んで歩く亜里沙を目撃してしまう。
きっとあの男は亜里沙の友達か、親類なんだ…そう自分に言い聞かせながら、こっそりと二人の後を着いて行くと、二人は幸治がスーツを買った店に入って行った。
しばらくすると、二人が店から出て来た。
男は手に大きな袋を持っていた。
(まさか……!)
幸治の心に不安の渦が広がった。
その不安を払拭するため、幸治は亜里沙に電話をかけた。
「あ、亜里沙、今どこにいるの?」
「あ、幸治?今、あたし、近所のスーパーでママと夕飯の買い物中なんだ。」
「…本当に?」
「うん!本当だよ!
幸治、どうしたの?なにかあった?」
「……後ろ…見て…」
振り向いた亜里沙の瞳が一瞬大きく見開き、そして怒ったような表情に変わったかと思うと、亜里沙はそのまま雑踏の中に走り出してしまった。
「亜里沙、待って!!」
幸治は懸命に追いかけたが、亜里沙の姿をみつけることは出来なかった。
そして、その次の日から、亜里沙の携帯には二度と繋がることはなかった。
騙された…
幸治がやっとそのことに気が付いた時、幸治の借金はすでに700万を超えていた。
これはイタリアの最高級の生地で作ってあるものだから、長く着られるよ。
それに85万っていうのは、定価だよ。
亜里沙の彼氏だったら、定価ってわけにはいかないし…55万…いや、50万で良いよ!
もう仕入れ値割っちゃうけど、これも亜里沙と君のためだ!」
「ありがとう、店長!
良かったね、幸治!!
こんなに安くしてもらえるなんて!」
「でも…僕、お金が…」
幸治は渋ったが、分割で払えば良いと言われ、結局、契約してしまった。
「素敵!やっぱり幸治はスーツが似合うよ!
ヤバイよ!あたし、惚れなおしちゃう。」
新しいスーツを着た幸治はまるで別人になったかのような気持ちを感じていた。
身に付けるものを変えるだけで、こんなに気持ちが変わるとは、幸治にも意外な程だった。
それから、亜里沙にすすめられるままに時計や宝石、そして幸運が舞い込むという絵等を購入した。
それらはすべて亜里沙の紹介した店で買ったものだった。
亜里沙の伝手でより安くしてもらえること、手許に金がなくとも分割払いにしてもらえることが買い物に拍車をかけた。
そんなある日、幸治は見知らぬ男と仲良さげに腕を組んで歩く亜里沙を目撃してしまう。
きっとあの男は亜里沙の友達か、親類なんだ…そう自分に言い聞かせながら、こっそりと二人の後を着いて行くと、二人は幸治がスーツを買った店に入って行った。
しばらくすると、二人が店から出て来た。
男は手に大きな袋を持っていた。
(まさか……!)
幸治の心に不安の渦が広がった。
その不安を払拭するため、幸治は亜里沙に電話をかけた。
「あ、亜里沙、今どこにいるの?」
「あ、幸治?今、あたし、近所のスーパーでママと夕飯の買い物中なんだ。」
「…本当に?」
「うん!本当だよ!
幸治、どうしたの?なにかあった?」
「……後ろ…見て…」
振り向いた亜里沙の瞳が一瞬大きく見開き、そして怒ったような表情に変わったかと思うと、亜里沙はそのまま雑踏の中に走り出してしまった。
「亜里沙、待って!!」
幸治は懸命に追いかけたが、亜里沙の姿をみつけることは出来なかった。
そして、その次の日から、亜里沙の携帯には二度と繋がることはなかった。
騙された…
幸治がやっとそのことに気が付いた時、幸治の借金はすでに700万を超えていた。
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