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067. 手紙
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次の朝、玄関に一通の手紙が入っているのに幸治は気が付いた。
封筒には宛名も差し出し人名も書いてはいない。
普通なら、下の郵便受けに入れてあるはずなのに、わざわざ誰がここまで持って来たのか…
どうせ督促関係の手紙だろうと思い放っておいたが、やはり気にかかり、幸治は恐る恐る封を開いた。
「行くな!
絶対に行っちゃダメだ!」
白い罫のない便箋に書かれていたのはただそれだけ。
妙に力のない乱れた文字だ。
(…なんだ、これ?)
しかし、その短い言葉は、今の自分の状況に妙に符合していることに幸治は気が付いた。
(まさか、誰かが僕のしようとしていることに気が付いて…?)
そうは言ってもそんなことを知っている…いや、少しでも幸治のしようとしている事に感付いていそうな者自体、まるで心当たりがない。
幸治にはそもそも友達らしい友達もいないのだから。
それを考えると、幸治はおかしな恐怖心にかられた。
誰かが自分のことを見張っている?
いや、もしかしたら自分は誰かに命を狙われてて、それを知った誰かがそれを知らせようとしてこんなことを…?
様々な妄想が幸治の頭の中で渦巻く。
死ぬつもりではあったが、誰かに殺されるかもしれないと考えるとそれはとても恐ろしい気がした。
最近は凄惨な事件も多い。
鈍器で頭や顔をめったうちにされたら…
灯油をかけられて火をつけられたら…
昔、映画で見た残酷な拷問のシーンまでが頭の中をよぎる。
考えれば考える程、誰かに殺されるということは恐ろしいものに思えた。
幸治は、鍵をかけ、窓を閉め切り、その日はどこにもでかけなかった。
夜になると、幸治はやっと気持ちが落ち着いて来たのを感じた。
落ち着いて考えると、さっきまでの妄想がとても馬鹿馬鹿しいものに思える。
(僕を殺しても何の得もないんだ。
誰かが僕を狙ってるなんて、そんなこと、あるわけがない…
狙われるのはたいてい有名人や金持ちだもんな。
僕なんかが狙われるわけがないんだ。
明日こそ出かけよう…!)
その思うと気が晴れ、幸治はゆっくりと眠ることが出来た。
しかし、次の朝、玄関先にまた手紙が入っていたのだ。
昨日と同じ、宛名も差し出し人名も書かれていない白い封筒が…
(全く…誰なんだよ…)
苛立つ気持ちを抑えながら、幸治は封を開けた。
「行っちゃダメだって言ってるだろ!
生きてりゃなんとかなる。
薬を飲んだら、楽に死ねるなんて大間違いだぞ。
ものすごく苦しいんだ!」
(や…やっぱりこの手紙を書いた奴は僕のしようとしていることを知ってる!!)
手紙を持つ幸治の手が震えた。
次の朝、玄関に一通の手紙が入っているのに幸治は気が付いた。
封筒には宛名も差し出し人名も書いてはいない。
普通なら、下の郵便受けに入れてあるはずなのに、わざわざ誰がここまで持って来たのか…
どうせ督促関係の手紙だろうと思い放っておいたが、やはり気にかかり、幸治は恐る恐る封を開いた。
「行くな!
絶対に行っちゃダメだ!」
白い罫のない便箋に書かれていたのはただそれだけ。
妙に力のない乱れた文字だ。
(…なんだ、これ?)
しかし、その短い言葉は、今の自分の状況に妙に符合していることに幸治は気が付いた。
(まさか、誰かが僕のしようとしていることに気が付いて…?)
そうは言ってもそんなことを知っている…いや、少しでも幸治のしようとしている事に感付いていそうな者自体、まるで心当たりがない。
幸治にはそもそも友達らしい友達もいないのだから。
それを考えると、幸治はおかしな恐怖心にかられた。
誰かが自分のことを見張っている?
いや、もしかしたら自分は誰かに命を狙われてて、それを知った誰かがそれを知らせようとしてこんなことを…?
様々な妄想が幸治の頭の中で渦巻く。
死ぬつもりではあったが、誰かに殺されるかもしれないと考えるとそれはとても恐ろしい気がした。
最近は凄惨な事件も多い。
鈍器で頭や顔をめったうちにされたら…
灯油をかけられて火をつけられたら…
昔、映画で見た残酷な拷問のシーンまでが頭の中をよぎる。
考えれば考える程、誰かに殺されるということは恐ろしいものに思えた。
幸治は、鍵をかけ、窓を閉め切り、その日はどこにもでかけなかった。
夜になると、幸治はやっと気持ちが落ち着いて来たのを感じた。
落ち着いて考えると、さっきまでの妄想がとても馬鹿馬鹿しいものに思える。
(僕を殺しても何の得もないんだ。
誰かが僕を狙ってるなんて、そんなこと、あるわけがない…
狙われるのはたいてい有名人や金持ちだもんな。
僕なんかが狙われるわけがないんだ。
明日こそ出かけよう…!)
その思うと気が晴れ、幸治はゆっくりと眠ることが出来た。
しかし、次の朝、玄関先にまた手紙が入っていたのだ。
昨日と同じ、宛名も差し出し人名も書かれていない白い封筒が…
(全く…誰なんだよ…)
苛立つ気持ちを抑えながら、幸治は封を開けた。
「行っちゃダメだって言ってるだろ!
生きてりゃなんとかなる。
薬を飲んだら、楽に死ねるなんて大間違いだぞ。
ものすごく苦しいんだ!」
(や…やっぱりこの手紙を書いた奴は僕のしようとしていることを知ってる!!)
手紙を持つ幸治の手が震えた。
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