Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

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068. 狂熱の骸

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小さな山を一つ越え、私が次に辿り着いた先は山裾のひなびた田舎町だった。



(泊まれる所があれば良いが…)



私の期待は残念ながら叶わなかった。
この小さな町には、宿というものがない。
しかしながら、朝まで営業している酒場があるとのことだった。
ここに立ち寄った者は、たいていがそこで夜明けを待つようだ。
野宿を免れただけでも幸いと考えるべきなのか…
私がもっと酒好きであったなら、こういうことも苦にはならないのだろうが、酒はたしなむ程度にしか飲めない。
しかも、少し飲んだだけで眠くなってしまうという情けない体質なのだ。

だが、そんな愚痴を言った所で、ないものはないのだから仕方がない。
私は気を取りなおして酒場を目指した。

教えてもらった酒場はすぐにわかった。
中には数人の男がいるだけだった。
私は、早速、隅っこの席に座り、食べるものと酒を注文した。



「見かけない顔だな。
あんた、旅をしてるのか?」

ほろ酔い加減の初老の男が親しげに私に話しかけて来た。



「ええ…あてのない一人旅です。」

「一人とは寂しいもんだな。
なるほど、わかったぜ!
行く先々で女を作ってるんだな!」

「とんでもありません。
私は、女性にはからっきしダメな方でして…」

「またまた…!あんたほどの男前なら、女の方がほっとかないだろう!」

「いいえ…私に言い寄って来る女性等、まるでいませんよ。」

「本当か~?
……そういやぁ、あんたは隙がないっていうのか…品が良過ぎて、とても、自分なんか相手にしてもらえねぇって思うのかもしれないな。」

「そんなことはありませんよ。
私はごく普通の男です。
この旅も、運命の女性との出会いを求めてのことなのですから…」

「運命の女性?
こいつは驚いた!
あんた、そんな夢みたいなことを考えているのか?
そういうのは若い女が夢見るんじゃないのか?
……わかった!あんたは理想がものすごく高ぇんだな!
だから、あんたのそばに女がどんだけ寄って来ても、目にも入ってないんじゃないか?
うん、きっとそうだ!」

男はそんな不躾なことを言っては、うんうんと一人で勝手に納得していた。
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