Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

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068. 狂熱の骸

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「そんなことはありませんよ。
私は、女性に対して注文が多いなんてことは決して…」

「あんた、自分では気がついてないんだよ。
あんた自身が男前で教養が高そうだから、そういうのが普通だと思ってるんだな、きっと。
……そうだ!あんたにぴったりの場所があるぜ!」

「私にぴったりの場所…ですか?」

「そうだ。
そこは、勝負事に勝ちたい者、権力を手に入れたい者、やる気や元気のない者に力を与えてくれるって所でな。
あんたは、その、なんだ…
そう!冷静過ぎるんだ!
もっと情熱を持たなきゃ恋愛なんて出来ないぜ!
運命もへったくれもねぇ!
俺はおまえが好きだーーーー!って、女を押し倒すような熱い情熱がたりねぇんだ!」

「そこは、どういう場所なのですか…?」

「実はな…」



男はその場所について話し始めた。
この先の山の中に、「熱き骨の祠」というものがあるらしい。
そこには赤く燃えたぎるような頭蓋骨がおさめられており、その骨を両手で持ち上げられた者はこの世の王になれるという伝説までがあるらしい。
しかし、その骨に触れたものはその熱さのあまり骨まで溶けると言われており、いまだ成功したものはいないということだった。
だから、そこを訪れる者は、骨に触れることなくまるで暖炉の炎にでもあたるかのように、遠巻きに骨の上に手をかざす。
それだけでも、大きな力がもたらされるということだった。



骨まで溶かすような熱い骨…
そんなものがあるとは思えない。
骨そのもが熱を発すること自体、ありえないことではないか。
おそらくは、骨の中になにか仕掛けがしてあるのではないだろうか?
骨が熱を発しているように見える仕掛けが…
実際は見た目ほど熱くはないのだろうが、言い伝えを怖がって誰もが手を触れないことで、なおさら噂は大きくなって一人歩きを始めたのだろう。

よし、明日は私がその仕掛けを見破ってやろう…!

私はそんな意地の悪い事を考えながら、いつの間にか眠ってしまっていた。
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