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073. 伊達と酔狂
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「おぉ、ここか…思ってたよりも広い店だな。」
「いらっしゃ……あれ?
もしかして、おじさん?」
「祐介、ひさしぶりだな。
婆さんの13回忌以来じゃないか?」
「おひさしぶりっす。
今日はどうかしたんっすか?」
「あぁ、おまえが骨董の店を開いたと聞いたので、良いものを持って来てやったぞ。」
「良い…もの?」
「あぁ…これなんだが…」
伯父は、椅子に腰掛け、風呂敷包みを広げた。
「とても良いもんだぞ。
狩野派の奥絵師の描いたものだ。
こんなに状態の良いものは滅多にみつからんぞ。
相場では100万はするものだが、お前には50万で譲ろう。」
「ちょっと拝見します。」
祐介は、伯父の持って来た掛け軸を広げた。
真剣な目でしばらくそれを眺め透かし、やがて、くるくると掛け軸を巻いて、伯父の元に返した。
「残念ながら、これは贋作ですね。」
「何を言う!本物だ。
あの山形慎太郎が鑑定したものだぞ。」
「俺、山形先生のところで働いてたんです。
先生が、こんな贋作に気付かないわけありません。」
「うっ…」
伯父は、唇を噛み締めた。
「贋作は贋作でも、これはとてもすぐれた贋作だ。
本物だって言って売っても、そう簡単にはバレんぞ。
……30万でどうだ?
100万で売れば、70万も儲かるぞ!」
それを聞いた祐介の表情が一変した。
「あのなぁ、おっさん!
俺は、伊達や酔狂でこの職業をやってんじゃない!
とっとと帰りやがれ!」
祐介の剣幕に、伯父はびっくりして出て行った。
「馬鹿野郎!もう二度と来んな!」
祐介は、掴んだ塩を投げつけた。
「おぉ、ここか…思ってたよりも広い店だな。」
「いらっしゃ……あれ?
もしかして、おじさん?」
「祐介、ひさしぶりだな。
婆さんの13回忌以来じゃないか?」
「おひさしぶりっす。
今日はどうかしたんっすか?」
「あぁ、おまえが骨董の店を開いたと聞いたので、良いものを持って来てやったぞ。」
「良い…もの?」
「あぁ…これなんだが…」
伯父は、椅子に腰掛け、風呂敷包みを広げた。
「とても良いもんだぞ。
狩野派の奥絵師の描いたものだ。
こんなに状態の良いものは滅多にみつからんぞ。
相場では100万はするものだが、お前には50万で譲ろう。」
「ちょっと拝見します。」
祐介は、伯父の持って来た掛け軸を広げた。
真剣な目でしばらくそれを眺め透かし、やがて、くるくると掛け軸を巻いて、伯父の元に返した。
「残念ながら、これは贋作ですね。」
「何を言う!本物だ。
あの山形慎太郎が鑑定したものだぞ。」
「俺、山形先生のところで働いてたんです。
先生が、こんな贋作に気付かないわけありません。」
「うっ…」
伯父は、唇を噛み締めた。
「贋作は贋作でも、これはとてもすぐれた贋作だ。
本物だって言って売っても、そう簡単にはバレんぞ。
……30万でどうだ?
100万で売れば、70万も儲かるぞ!」
それを聞いた祐介の表情が一変した。
「あのなぁ、おっさん!
俺は、伊達や酔狂でこの職業をやってんじゃない!
とっとと帰りやがれ!」
祐介の剣幕に、伯父はびっくりして出て行った。
「馬鹿野郎!もう二度と来んな!」
祐介は、掴んだ塩を投げつけた。
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