542 / 697
076. 野望
9
しおりを挟む
「15000」「15000」
表示された得票数を見た観客からの驚きの声が、細波のように会場に広がった。
「なんということでしょう!
28回のイケメンコンテストの歴史の中で、初めての同数です!」
司会者が電光掲示板を見上げ、興奮したように叫ぶ。
「では…優勝は……」
会場はこの結果にどよめいたまま。
司会者がどうしたものかと関係者の方へ視線を移すと、若い男が司会者に駆けよりそっと耳打ちをした。
司会者はそれを聞きながら、うんうんと頷く。
「失礼致しました。
何分、このようなことは初めてのことですので、結果が出るまでもうしばらくお待ち下さい。」
(なんと!同数とは…
で、では、優勝者はどうなるんじゃ?
ま、ま、まさか、ジャンケンで決めるのではなかろうな!?
楊俊様は天才的に後出しがうまいんじゃ!
そんなことになったら、胡燕殿の優勝はありえんぞ!!)
李雲は、舞台の袖で両手を合わせ、再び、神に祈った。
どうか、胡燕が優勝しますように…と…
会場が暗くなり、舞台には大きなスクリーンがするすると降り、歴代のイケメンコンテスト優勝者達のPVが流れ出す。
観客達は、優勝の行方を気にしながらも、美しい男達のPVで気を紛らせていた。
10分程が経過した頃、不意に客電が点き、観客達がまばゆさに目を細める中、先程の司会者が楊俊と胡燕を伴なって登場した。
「皆様、永らくお待たせいたしました!
協議の結果、今回は、楊俊さん、胡燕さん、お二人の優勝と決定致しました!
皆様、どうぞ、この二人の美しきイケメンチャンピオンに温かい拍手を…!」
「きゃあーーー!楊俊様ーーー!」
「胡燕さん、おめでとうーーー!」
会場からは割れんばかりの拍手と声援が飛び交う。
楊俊は、会場に向かって陽気に手を振り、胡燕は四方に向かって深く頭を下げた。
(やったーーーーーー!!!
ついに…ついに、これで念願の女人島へ行けるぞ…!!)
李雲の頭の中には、女人島での楽しい日々が妄想として浮かび上がる。
(て…天国がすぐ傍に……)
虚ろな目をして甘美な妄想に酔い知れる李雲の目に、目録を受け取る二人がぼんやりと映った。
「なお、今回は、優勝者が二人という思わぬ事態となりましたので、女人島ご招待はペアではなく、ご本人達のみとご招待とあいなりました。
ご了承下さい。」
(………ん………?
今………何と…何と……)
李雲は思わず舞台に飛び出した。
「す、す、す、すみません!
今、女人島のご招待のことがちょっとよく聞き取れなかったのですが…」
「なんだ、李雲、おまえがなぜこんな所に…
聞こえなかったのか?
今回は優勝者が二人になったから、ペアではなくなったってことだ。
つまり、女人島へ行くのは私とこの男の二人だけだ。」
「えええええええーーーーーーーーー!!」
李雲は、素っ頓狂な声で叫んだかと思うと、白目をむいてその場にひっくり返った。
*
*
*
かくして、李雲の野望は無残にも砕け散った。
その後、楊俊と胡燕は、女人島で夢のような数日間を過ごし、李雲はブーメランパンツを握り締めたまま一週間寝こんだという…
表示された得票数を見た観客からの驚きの声が、細波のように会場に広がった。
「なんということでしょう!
28回のイケメンコンテストの歴史の中で、初めての同数です!」
司会者が電光掲示板を見上げ、興奮したように叫ぶ。
「では…優勝は……」
会場はこの結果にどよめいたまま。
司会者がどうしたものかと関係者の方へ視線を移すと、若い男が司会者に駆けよりそっと耳打ちをした。
司会者はそれを聞きながら、うんうんと頷く。
「失礼致しました。
何分、このようなことは初めてのことですので、結果が出るまでもうしばらくお待ち下さい。」
(なんと!同数とは…
で、では、優勝者はどうなるんじゃ?
ま、ま、まさか、ジャンケンで決めるのではなかろうな!?
楊俊様は天才的に後出しがうまいんじゃ!
そんなことになったら、胡燕殿の優勝はありえんぞ!!)
李雲は、舞台の袖で両手を合わせ、再び、神に祈った。
どうか、胡燕が優勝しますように…と…
会場が暗くなり、舞台には大きなスクリーンがするすると降り、歴代のイケメンコンテスト優勝者達のPVが流れ出す。
観客達は、優勝の行方を気にしながらも、美しい男達のPVで気を紛らせていた。
10分程が経過した頃、不意に客電が点き、観客達がまばゆさに目を細める中、先程の司会者が楊俊と胡燕を伴なって登場した。
「皆様、永らくお待たせいたしました!
協議の結果、今回は、楊俊さん、胡燕さん、お二人の優勝と決定致しました!
皆様、どうぞ、この二人の美しきイケメンチャンピオンに温かい拍手を…!」
「きゃあーーー!楊俊様ーーー!」
「胡燕さん、おめでとうーーー!」
会場からは割れんばかりの拍手と声援が飛び交う。
楊俊は、会場に向かって陽気に手を振り、胡燕は四方に向かって深く頭を下げた。
(やったーーーーーー!!!
ついに…ついに、これで念願の女人島へ行けるぞ…!!)
李雲の頭の中には、女人島での楽しい日々が妄想として浮かび上がる。
(て…天国がすぐ傍に……)
虚ろな目をして甘美な妄想に酔い知れる李雲の目に、目録を受け取る二人がぼんやりと映った。
「なお、今回は、優勝者が二人という思わぬ事態となりましたので、女人島ご招待はペアではなく、ご本人達のみとご招待とあいなりました。
ご了承下さい。」
(………ん………?
今………何と…何と……)
李雲は思わず舞台に飛び出した。
「す、す、す、すみません!
今、女人島のご招待のことがちょっとよく聞き取れなかったのですが…」
「なんだ、李雲、おまえがなぜこんな所に…
聞こえなかったのか?
今回は優勝者が二人になったから、ペアではなくなったってことだ。
つまり、女人島へ行くのは私とこの男の二人だけだ。」
「えええええええーーーーーーーーー!!」
李雲は、素っ頓狂な声で叫んだかと思うと、白目をむいてその場にひっくり返った。
*
*
*
かくして、李雲の野望は無残にも砕け散った。
その後、楊俊と胡燕は、女人島で夢のような数日間を過ごし、李雲はブーメランパンツを握り締めたまま一週間寝こんだという…
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
不倫妻への鎮魂歌 ―サレ夫が選んだ、最も残酷で静かな復讐―
MisakiNonagase
大衆娯楽
「サレ夫、再生。不倫妻、転落。──その代償は、あまりに重い。」
「嘘で塗り固めた20年より、真実で歩む明日がいい。」
失って初めて気づく、守られていた日々の輝き。
46歳の美香にとって、誠実な夫と二人の息子に囲まれた生活は、退屈で窮屈な「檻」だった。若い男からの甘い誘惑に、彼女は20年の歳月を投げ打って飛び込んだ。 しかし、彼女が捨てたのは「檻」ではなく「聖域」だったのだ。 不倫、発覚、離婚、そして孤独。 かつての「美しい奥様」が、厚化粧で場末のスナックのカウンターに立つまでの足取りと、傷つきながらも真実の幸福を掴み取っていく夫・徹の再生を描く。 家族とは何か、誠実さとは何か。一通の離婚届が、二人の人生を光と影に分かつ。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる