583 / 697
083. 幻想の草原
3
しおりを挟む
*
「こ、ここは…!」
「ル、ルークさん!さ、さっきとは場所が変わっています!」
瞬き一つしたかしないかの間に、俺達は森とは違う場所に来ていた。
この場所がどこなのか、森からどのくらい離れているのか、どんな方法で運ばれたのかは全くわからない。
さわさわと草のこすれる優しい音がして、少し青臭いけどとても心地良い風が吹いている。
普通なら、こんな場所に寝転んで昼寝でもしたい所なんだけど、ここではそういう気分になれなかった。
なぜなら、周りが虹の色のようなあやしい光りに包まれ、それがうねうねと動いていたからだ。
それは今までに見た事のないとても綺麗な光景なんだが、明らかに現実とは違う気がしてどこか薄気味が悪かったんだ。
「まさか……ここって天国じゃないだろうな?」
「ええっっ!?」
おかしな空を見上げていたランスロットが、俺の言葉に驚いて目を丸くし、ジーニアスは俺の方を見て静かに笑った。
「驚かれるのも無理はありませんが、天国ではありませんよ。
ただ、エルフの村は現実の世界とは少し違う場所にあるものですから少しばかり風景が変わっていますが…村に近付いたら見慣れたものになります。
ここは、言ってみればエルフの村と人間の世界を繋ぐ通路のような場所なのです。」
「この草原が通路…?」
俺はまるで万華鏡の中にいるような気分だった。
あたりに群生してる草は、俺達の世界のものと変わらない。
だけど、なにしろ空がおかしいんだ。
草原の果てもよく見えなくて空が垂れ下がってるようにも見える。
その時、俺は思った。
そうだ、トンネルの形に似てるんだ。
ジーニアスが言った通り、ここは不思議な通路のようなものなんだと俺はようやく理解した。
進んで行くうちに、やがて、空のあやしい光りがだんだんと薄れ、見慣れた青い空に変わっていった。
「あそこがエルフの村ですよ。」
そう言ったジーニアスの白くて長い指が指した先には、のどかな集落の姿がうっすらと見えた。
「こ、ここは…!」
「ル、ルークさん!さ、さっきとは場所が変わっています!」
瞬き一つしたかしないかの間に、俺達は森とは違う場所に来ていた。
この場所がどこなのか、森からどのくらい離れているのか、どんな方法で運ばれたのかは全くわからない。
さわさわと草のこすれる優しい音がして、少し青臭いけどとても心地良い風が吹いている。
普通なら、こんな場所に寝転んで昼寝でもしたい所なんだけど、ここではそういう気分になれなかった。
なぜなら、周りが虹の色のようなあやしい光りに包まれ、それがうねうねと動いていたからだ。
それは今までに見た事のないとても綺麗な光景なんだが、明らかに現実とは違う気がしてどこか薄気味が悪かったんだ。
「まさか……ここって天国じゃないだろうな?」
「ええっっ!?」
おかしな空を見上げていたランスロットが、俺の言葉に驚いて目を丸くし、ジーニアスは俺の方を見て静かに笑った。
「驚かれるのも無理はありませんが、天国ではありませんよ。
ただ、エルフの村は現実の世界とは少し違う場所にあるものですから少しばかり風景が変わっていますが…村に近付いたら見慣れたものになります。
ここは、言ってみればエルフの村と人間の世界を繋ぐ通路のような場所なのです。」
「この草原が通路…?」
俺はまるで万華鏡の中にいるような気分だった。
あたりに群生してる草は、俺達の世界のものと変わらない。
だけど、なにしろ空がおかしいんだ。
草原の果てもよく見えなくて空が垂れ下がってるようにも見える。
その時、俺は思った。
そうだ、トンネルの形に似てるんだ。
ジーニアスが言った通り、ここは不思議な通路のようなものなんだと俺はようやく理解した。
進んで行くうちに、やがて、空のあやしい光りがだんだんと薄れ、見慣れた青い空に変わっていった。
「あそこがエルフの村ですよ。」
そう言ったジーニアスの白くて長い指が指した先には、のどかな集落の姿がうっすらと見えた。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ガチャから始まる錬金ライフ
あに
ファンタジー
河地夜人は日雇い労働者だったが、スキルボールを手に入れた翌日にクビになってしまう。
手に入れたスキルボールは『ガチャ』そこから『鑑定』『錬金術』と手に入れて、今までダンジョンの宝箱しか出なかったポーションなどを冒険者御用達の『プライド』に売り、億万長者になっていく。
他にもS級冒険者と出会い、自らもS級に上り詰める。
どんどん仲間も増え、自らはダンジョンには行かず錬金術で飯を食う。
自身の本当のジョブが召喚士だったので、召喚した相棒のテンとまったり、時には冒険し成長していく。
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる