Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
585 / 697
083. 幻想の草原

しおりを挟む
「そうだったのか…
おまえにも世話をかけたな。
……君達、名はなんという?」

俺達の方に向けられた長の顔は、寝起きだというのにぼんやりした所は少しもなく、長だけあってどこか威厳の感じられる顔だった。



「え…えっと…俺はルーク…で、こっちはランスロットです。」

「ルークにランスロットだな。
私はシューメイヤ。
この度のこと、本当に感謝する。」

シューメイヤは俺達に手を差し出し、俺とランスロットは代わる代わる握手をした。



「シューメイヤ様、体調はいかがですか?」

「見ての通り、何事もない。
そんなことより、ジーニアス、詳しい話を聞かせてくれ。」

ジーニアスは少し心配そうだったけど、言われる通り、シューメイヤが眠りの呪いにかけられてからの説明を始めた。
目覚めの笛を取った時の俺の『能力』についても話され、シューメイヤはただ黙ってジーニアスの話を聞いていた。








「ルークさん、ランスロットさん、エルフの料理はお口にあいますか?」

「ええ、とてもおいしいです!」

ランスロットが目を輝かせてそう答えた。

その晩、俺達はシューメイヤの屋敷に泊めてもらうことになった。
夕食のエルフ料理は、野菜や果物のようなものが主で味付けも薄い。
はっきりいって俺にはうまいとは思えなかったが、ランスロットはお世辞ではなく本当に気に入っているようだった。



「シューメイヤ様、実は例の件をルークさん達にお願いしてはどうかと思い、こちらへお連れしたのですが…」

夕食の席で、ジーニアスが突然そんな事を言い出した。



「例の件って……あのお願いってやつのことですか?」

「そうなんです。
実は……あの宴では長が眠りの呪いをかけられただけではなく、大切なリュートを奪われてしまったのです。」

「リュートを?」

「実は、あの日、シューメイヤ様は小人達にリュートの演奏を頼まれました。
私達エルフも小人達も音楽や踊りが大好きですし、長はリュートの名手ですから、そのことには少しも不信感を感じませんでした。
……ですが、それは罠だったのです。
小人達は最初からリュートを奪うつもりでそんなことを言ったのです。」

ジーニアスの顔に暗い影が差し、シューメイヤも食事の手を停め、ジーニアスと同じような表情を浮かべていた。
二人の様子から見ても、そのリュートはずいぶんと大切なもののようだ。



「では、詳しい話を聞かせて下さい。」

何やらややこしいことになりそうな予感はしたが、乗りかかった船だ。
ここまで来たら、やるしかない!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

不倫妻への鎮魂歌 ―サレ夫が選んだ、最も残酷で静かな復讐―

MisakiNonagase
大衆娯楽
「サレ夫、再生。不倫妻、転落。──その代償は、あまりに重い。」 「嘘で塗り固めた20年より、真実で歩む明日がいい。」 失って初めて気づく、守られていた日々の輝き。 46歳の美香にとって、誠実な夫と二人の息子に囲まれた生活は、退屈で窮屈な「檻」だった。若い男からの甘い誘惑に、彼女は20年の歳月を投げ打って飛び込んだ。 しかし、彼女が捨てたのは「檻」ではなく「聖域」だったのだ。 不倫、発覚、離婚、そして孤独。 かつての「美しい奥様」が、厚化粧で場末のスナックのカウンターに立つまでの足取りと、傷つきながらも真実の幸福を掴み取っていく夫・徹の再生を描く。 家族とは何か、誠実さとは何か。一通の離婚届が、二人の人生を光と影に分かつ。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

処理中です...