Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
607 / 697
087. あきんど

しおりを挟む
「二人共喧嘩しないでよ。」

僕は、ケンタロウとフェリーシアの間に割って入った。



「別に喧嘩ってわけじゃないぞ。
……あ、トカチェフ!
とりあえず、俺、しばらくはおまえと一緒に行く事にするからな。」

「え…?そ、それは良いけど、どうして?」

「だって、もしかしたらこいつが俺の種族の国のことを思い出すかもしれないし…
こいつ、妖精なんだったら何か不思議な力を持ってるんだろ?
それに、長生きだからいろんなこと知ってるだろうし…」

「何?あんた、またあたしを年寄り扱いする気!?」

「そ、そうじゃないって!
俺はただ……」

二人のやりとりを見ながら、僕は深い溜め息を吐いた。
ケンタロウが一緒に来るのはちっとも構わないけど、この二人…こんな調子で大丈夫なのかな?







「あぁ、今日も良い天気だ!」

ケンタロウは、朝日に向かって気持ち良さそうに大きく伸びをした。
彼とフェリーシアは昨夜、けっこう夜更かしの僕が眠くなってもまだ二人でいろんなことを話してたみたいだ。
気の合わないように見えて、実はけっこう二人は気が合ってるのかもしれない。



「ところで、これからどうするんだ?」

「どうって……」

そういえば、フェリーシアは一緒にトカゲ族の国を探してくれることは約束してくれたものの、詳しいことは何も知らないって言っていた。
どこか行くあてはあるのだろうかと考えながら、僕はフェリーシアの方へ顔を向けた。



「そうね。
とりあえず、北を目指すと良いんじゃないかしら?」

僕が何も聞かないうちからフェリーシアはそう答えた。



「あ……」

その言葉を聞いた瞬間、僕の脳裏に以前会ったトカゲ族の老人のことが思い出されていた。
そうだ、あの老人も言っていた。
トカゲ族の国は北の最果てにあるんだって…
でも、フェリーシアは確かトカゲ族の国の場所のことは知らない筈なのに…



「ど、どうして北なの?」

僕は、早速、その疑問を彼女にぶつけた。



「どうしてって……思い出したのよ。
長老様がトカゲ族の国に行った時、寒くて風邪をひいたって言ってたことを…
ってことは、きっと北にあるのよ。
南だったら寒いはずないもの。」

フェリーシアはそう言うと、得意げな顔で微笑んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

性転のへきれき

廣瀬純七
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...