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087. あきんど
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「二人共喧嘩しないでよ。」
僕は、ケンタロウとフェリーシアの間に割って入った。
「別に喧嘩ってわけじゃないぞ。
……あ、トカチェフ!
とりあえず、俺、しばらくはおまえと一緒に行く事にするからな。」
「え…?そ、それは良いけど、どうして?」
「だって、もしかしたらこいつが俺の種族の国のことを思い出すかもしれないし…
こいつ、妖精なんだったら何か不思議な力を持ってるんだろ?
それに、長生きだからいろんなこと知ってるだろうし…」
「何?あんた、またあたしを年寄り扱いする気!?」
「そ、そうじゃないって!
俺はただ……」
二人のやりとりを見ながら、僕は深い溜め息を吐いた。
ケンタロウが一緒に来るのはちっとも構わないけど、この二人…こんな調子で大丈夫なのかな?
*
「あぁ、今日も良い天気だ!」
ケンタロウは、朝日に向かって気持ち良さそうに大きく伸びをした。
彼とフェリーシアは昨夜、けっこう夜更かしの僕が眠くなってもまだ二人でいろんなことを話してたみたいだ。
気の合わないように見えて、実はけっこう二人は気が合ってるのかもしれない。
「ところで、これからどうするんだ?」
「どうって……」
そういえば、フェリーシアは一緒にトカゲ族の国を探してくれることは約束してくれたものの、詳しいことは何も知らないって言っていた。
どこか行くあてはあるのだろうかと考えながら、僕はフェリーシアの方へ顔を向けた。
「そうね。
とりあえず、北を目指すと良いんじゃないかしら?」
僕が何も聞かないうちからフェリーシアはそう答えた。
「あ……」
その言葉を聞いた瞬間、僕の脳裏に以前会ったトカゲ族の老人のことが思い出されていた。
そうだ、あの老人も言っていた。
トカゲ族の国は北の最果てにあるんだって…
でも、フェリーシアは確かトカゲ族の国の場所のことは知らない筈なのに…
「ど、どうして北なの?」
僕は、早速、その疑問を彼女にぶつけた。
「どうしてって……思い出したのよ。
長老様がトカゲ族の国に行った時、寒くて風邪をひいたって言ってたことを…
ってことは、きっと北にあるのよ。
南だったら寒いはずないもの。」
フェリーシアはそう言うと、得意げな顔で微笑んだ。
僕は、ケンタロウとフェリーシアの間に割って入った。
「別に喧嘩ってわけじゃないぞ。
……あ、トカチェフ!
とりあえず、俺、しばらくはおまえと一緒に行く事にするからな。」
「え…?そ、それは良いけど、どうして?」
「だって、もしかしたらこいつが俺の種族の国のことを思い出すかもしれないし…
こいつ、妖精なんだったら何か不思議な力を持ってるんだろ?
それに、長生きだからいろんなこと知ってるだろうし…」
「何?あんた、またあたしを年寄り扱いする気!?」
「そ、そうじゃないって!
俺はただ……」
二人のやりとりを見ながら、僕は深い溜め息を吐いた。
ケンタロウが一緒に来るのはちっとも構わないけど、この二人…こんな調子で大丈夫なのかな?
*
「あぁ、今日も良い天気だ!」
ケンタロウは、朝日に向かって気持ち良さそうに大きく伸びをした。
彼とフェリーシアは昨夜、けっこう夜更かしの僕が眠くなってもまだ二人でいろんなことを話してたみたいだ。
気の合わないように見えて、実はけっこう二人は気が合ってるのかもしれない。
「ところで、これからどうするんだ?」
「どうって……」
そういえば、フェリーシアは一緒にトカゲ族の国を探してくれることは約束してくれたものの、詳しいことは何も知らないって言っていた。
どこか行くあてはあるのだろうかと考えながら、僕はフェリーシアの方へ顔を向けた。
「そうね。
とりあえず、北を目指すと良いんじゃないかしら?」
僕が何も聞かないうちからフェリーシアはそう答えた。
「あ……」
その言葉を聞いた瞬間、僕の脳裏に以前会ったトカゲ族の老人のことが思い出されていた。
そうだ、あの老人も言っていた。
トカゲ族の国は北の最果てにあるんだって…
でも、フェリーシアは確かトカゲ族の国の場所のことは知らない筈なのに…
「ど、どうして北なの?」
僕は、早速、その疑問を彼女にぶつけた。
「どうしてって……思い出したのよ。
長老様がトカゲ族の国に行った時、寒くて風邪をひいたって言ってたことを…
ってことは、きっと北にあるのよ。
南だったら寒いはずないもの。」
フェリーシアはそう言うと、得意げな顔で微笑んだ。
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