Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
672 / 697
096. 極光(オーロラ)

しおりを挟む
その晩もやはりオーロラは現れることはなく、夜が明け始めた頃私達は別れた。

「明日もいらっしゃるのですか?」

「ええ…私は毎日…」

「…では、私もまた来ます…」



宿に戻り私はそのまま眠り、夕方近くなって起きていくと主人が温かい食事を用意してくれていた。
風邪をひいてしまったのか、なんだか頭がフラフラする。

「昨夜はずいぶん遅くまで外にいらっしゃったんですね?」

「そうなのです。
結局、明け方近くまで…」

「そんなに遅くまで!
お客さんは本当に変わったお方だ…」

主人は呆れたような顔をして私をみつめた。



「おかげでなんだか風邪をひいてしまったようです。」

「そりゃあそうですよ。
あんな寒い所にいたんだ…今日はゆっくり休まれた方が良い。」

「そうですね…しばらく休みます。」

「しばらくって…まさか今夜もオーロラを見にいかれるおつもりじゃないでしょうな。」

「そのつもりですが…」

「それはやめといた方が良いですよ。
風邪が悪化したら大変です。
それに、オーロラには怖い伝説もあるんですよ。」

主人は、声を潜めてそう言った。



「怖い伝説…?」

「ええ…オーロラはあの世とこの世を結ぶ道…
あの道を通って天の神様が降りてきて、この世にさ迷う悪霊を天界に連れて行くそうですよ。
だから、オーロラの近くにいたら、悪霊と間違えて天界に連れて行かれるってね…
ま、とにかく今夜はゆっくりお休みなさいな。」

子供が夜遅くに出歩かないために作られた言い伝えなのだろう…

おなかはすいているはずなのに食欲がない。
私はほんの僅かを口にしただけで部屋に戻って横になった。

だんだんと寒気が増して来る。
頭痛もして来た。

やはり今夜は無理のようだ…

気分の悪さを我慢して横になっているうちに私は眠っていたようだ。

窓から外を見るとあたりはもう真っ暗だった。
民家の明かりも消えている。
しばらく眠ったおかげで、先ほどよりは気分も頭痛もずいぶんとマシになっていた。
少し迷ったが、彼女にもう一度会いたい気がして、私はマントを羽織り外へ飛び出した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

不倫妻への鎮魂歌 ―サレ夫が選んだ、最も残酷で静かな復讐―

MisakiNonagase
大衆娯楽
「サレ夫、再生。不倫妻、転落。──その代償は、あまりに重い。」 「嘘で塗り固めた20年より、真実で歩む明日がいい。」 失って初めて気づく、守られていた日々の輝き。 46歳の美香にとって、誠実な夫と二人の息子に囲まれた生活は、退屈で窮屈な「檻」だった。若い男からの甘い誘惑に、彼女は20年の歳月を投げ打って飛び込んだ。 しかし、彼女が捨てたのは「檻」ではなく「聖域」だったのだ。 不倫、発覚、離婚、そして孤独。 かつての「美しい奥様」が、厚化粧で場末のスナックのカウンターに立つまでの足取りと、傷つきながらも真実の幸福を掴み取っていく夫・徹の再生を描く。 家族とは何か、誠実さとは何か。一通の離婚届が、二人の人生を光と影に分かつ。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

処理中です...