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side かおり

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「……わかったよ。」

 渋い顔をしながら、瑠威が答えた。



 瑠威はツッパってる半面、意外な程、素直なところがある。
ほっとしたようなちょっと気が抜けたような複雑な想い…



「じゃ、じゃあ、外で会う時は今まで通りだからね。」

 「わかったって。」

 瑠威はどこか拗ねたような口調でそう言った。



それから、私達の付き合いは順調だった。
メンバーやマネージャーの小西君には話したけど、二人のことはファンには絶対に秘密…ファンの前では一切いちゃいちゃしないって約束を、瑠威は真面目に守ってくれた。



 一緒にいる時間が長くなればなるほど、瑠威への想いは強くなり、それと同時に罪悪感のようなものも強くなっていった。



 私は瑠威よりもうんと年上で、しかも子供までいる身…
そんな私が、瑠威とこんな関係を続けていて良いものか…



瑠威だって、何も本気なわけじゃない。
ただ、年増の女が物珍しいだけ…
彼にとってはただの火遊び…
そう思っていたのだけれど、瑠威の態度は少しも変わらなかった。
 付き合ってくれと言われたあの日からずっと、彼の瞳は私だけを見ていてくれている。
それはとても嬉しいことだけど、逆にとても辛いことでもあった。
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