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side 瑠威

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初めて会った時は少しだけ驚いた。
また若いファンの子かと思ってたから。
 俺より明らかに年上に見えるかおりは、おばさんというよりは綺麗なお姉さんって感じだった。
いかにも仕事が出来そうで、男になんか負けてないやり手の女って感じがした。



でも、何度か会ううちに、その反面、とても女性らしいところがあることに気が付いた。
 衣装の話をする時も、俺達の好みを一番に尊重してくれるし、自分の意見を言う時もとても控えめだった。
 彼女の作ってくれた衣装は細かいところまでとても丁寧に作られていて、それは性格にも同じことが言えた。
ちょうどその頃、俺はある女と付き合っていたのだけど、自己主張が強く、酷く気ままな女で、付き合うのに疲れていた時だった。
かおりと接するうちに、そのことが殊更に鼻についてきて、とうとう俺はその女と別れた。
 別れてもひとかけらの寂しささえも感じなかった。
 俺はきっと、その女の見てくれだけにひかれてたんだと思った。
 考えてみれば、俺は昔から直感的なものだけで女と付き合うことが多く、深く相手のことを知った上で付き合うということはあまりなかった。
 若かったからそれも仕方なかったのかもしれないが、そんな時…俺は少しずつかおりにひかれていることに気が付いた。

 
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