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揺れるココロ

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「ママ!おかわりっ!」



 私は空のお茶碗を差し出した。



 「はいはい。」



 本当にもうっ!
 少しは遠慮してほしいもんだわ。
さっきのあのラブラブなムードは何!?



……って、でもそれってやっぱり二人が深く愛し合ってるってことだよね。
そう…今はとってもうまくいってるんだ。
この先、別れることになるなんて、きっと二人とも砂粒程も考えちゃいない…



娘としてはどうするべきなんだろう?
ママに教えてあげるべきなのかな?
シュバルツにメジャーデビューが決まったら、きっとママは瑠威に捨てられるよ…って…



(言えないよ、そんなこと…!)



うん、私にはやっぱり言えない。
それがたとえママのためになることだとしても、そんなの辛すぎるもん。
それに、きっとママだって、そんなこと聞くはずないよ。
 今はこんなにラブラブなんだもん。



じゃあ、どうすれば…?



 私には見守ることしか出来ないのかもしれない。
シュバルツがメジャーデビューして、ママが瑠威に捨てられるのを、ただ黙ってみてるしかないのかもしれない。



 (そんなのやだ…辛いよ…)



でも、残念だけど、他に私になにか出来るとはとても思えなかった。

 
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