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side かおり

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 「……どうしたの?」

 「うん…ちょっとね。」

 瑠威は本当に敏い。
 私は気を遣ってそっと起き上がったのに、すぐに目を覚ました。
 柱の時計は三時過ぎを指していた。



ふと目が覚めた私の頭に、望結のことが思い浮かんだ。



 最近の望結は少しおかしい。
それほど夜更かしをする子じゃなかったのに、最近は遅くまで起きている。
 先日なんて、夜明けにも物音がしたからきっと起きていたんだと思う。



それだけじゃない。
なんとなくやつれた感じがするし、普段からぼーっとしたり、時折、かんしゃくを起こしたりする。
なにかがあったに違いない。
 多感な年頃だから、なにかあっても不思議はないけど、それなら私に相談してくれれば良いのに…
昔は何かあったら一番に相談してくれたものだけど、今は瑠威がいるから話しにくいのかもしれない。
だとしたら、私の方からきっかけを与えてやらなければ…
あの子が話しやすい環境を作ってやらないといけない。
それが母親としての私の役目だ。



 私は、足音を忍ばせながら階段を上った。
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