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 「こんな近くに、こんな素敵なお店があったんですね。」

 「気に入っていただけましたか?
なんかこうすごく落ち着くでしょう?このお店…」

やっぱり藤堂さんはセンスが良い。
 連れて行ってもらった和食の店はこれまたとても良い雰囲気のお店で、しかも、繁華街からは少し離れた所にあった。
 一般的にはあまり知られてないような、隠れた名店だ。



 「藤堂さんはいろんなお店をよくご存じなんですね。」

 「僕は好奇心が強いんですよ。
あちこち歩いて自分で素敵な店を探すのが趣味みたいなものでして…」

 「そうなんですか…」

しっかりしてるだけじゃなく、少年のような若い心も持ち合わせていて…藤堂さんは、知れば知るほどの魅力のある人物だと思った。



 「ところで、北川さん…
お昼におっしゃってた悩みのことですが…」

 「あ…あぁ…そうですね。」

なんといって切り出そうかと、少し戸惑った。
でも、やっぱりストレートなのが一番だ。



 「実は藤堂さん…昨日もお話しましたが、私…今の彼と別れたいんです。
でも、どういう風に別れを切り出したら良いのかわからなくて…」

 「そういうことでしたか…
ところで、今までは遊びとはいえ何となく付き合って来られてたんですよね?
ここに来て、はっきりと別れたいと思われたのにはなにか原因でもあるんですか?」

 「え…?い、いえ、そういうわけではありませんが…
多分…コップの水がいっぱいになってしまったんだと思います。」

 「彼に対する不満のようなものが限界に達したということですか?」

 「……ええ。」
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