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side 瑠威

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「……なるほど……だから、あんなに荒れてたってわけか。」

「荒れたくもなるの、わかるだろ…?」

「そのくらいのことで、おたおたするなんて、おまえらしくもないな。」

「そのくらいって…クロウ、わかってんのか?
かおりは好きな人がいるって言ったんだぜ。
しかも、一年も前からそいつと付き合ってるって…
それが、そのくらいのことか?」

クロウは俺を見ながら含み笑いをする。



「なんだよ。」

「瑠威…忘れたのか?
おまえ、言ってたよな。
どんなことがあっても、かお姉のことを幸せにするって…
かお姉とは魂で結ばれてるんだって言ってたよな。」

「……だけど、俺がふられたんだぜ。
いくら俺がかおりのことを想ってたって、ふられたんじゃ仕方ないだろ。」

「やけにあきらめが良いんだな。」

「どういうことだよ?」

「まだ何の確証もないうちから、やけに早く諦めるんだなって思ってさ。
おまえ、そんなに諦めが良かったっけ?
それとも、かお姉への愛はそのくらいだったってことか?」

「なんだとぉ!」

俺が胸倉を掴んでも、クロウは少しもひるむことはなかった。



「本当に好きなら、みっともなくても何でも、別れないでくれ!俺を捨てないでくれ!って頼めよ!
それとも、おまえにとっちゃ、男のプライドの方が大切なのか?」

クロウの言葉に俺は脳天を強かに殴られたような気がした。
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