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047 : 猫の目
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「リンゼイさん、リュックの言う通りですよ。
あなたは今おっしゃったじゃないですか。
お父様は、あなたのことをとても愛し、そして、とても可愛がって下さったと。
そのお気持ちは、たとえお亡くなりになられたとしても、変わるはずがありません。
ですから……あなたが来て下さるのを今もきっと待たれてらっしゃるはずですよ。
お母様だって同じです。
現にお母様は……」
私の言葉に、リンゼイはまた顔を突っ伏して泣き始めた。
特に厳しいことを言ったつもりはなかったが、それでも若い娘には堪えたのかもしれない。
私は苦々しい笑みをリュックに投げかけ、彼はそれに私と同じような顔で小さく頷いた。
クロワは、さっきと同じようにリンゼイの背中を優しくさすり、私達はリンゼイの感情がおさまるのをじっと待つしかなかった。
*
「……何度も取り乱してしまって…本当にごめんなさい。」
「いえ……私の方こそ余計なことを……」
「そ、そんなこと、ありません!
私……皆さんのおかげで、大切なことに気付けたんです。」
赤い目をしたリンゼイは、そう言ってまた声を詰まらせた。
「リンゼイさん、大丈夫?
お水でも飲みますか?」
「いえ…あ…私ったら、皆さんにお茶もまだ出してませんでしたね。」
「いいのよ、そんなこと…
私達が突然押しかけて来たんですもの。」
「では…あと少しだけ話をさせて下さい。
お茶はその後で……」
そう言いながら、リンゼイはリュックが手渡した猫目石の指輪の小箱を大切そうにそっと持ち上げた。
「この指輪のこと……母から聞かれてますか?」
「え?あぁ、魔除けの力がどうとかいうことか?」
リンゼイはゆっくりと頷く。
「この指輪は、父の家にずっと昔から伝わるもので、先祖にはこの指輪のおかげで命を救われた者も何人かいるようです。
ちょっとおかしなことに想われるかもしれませんが、この指輪は配偶者、または血族に引き継ぐ事、もしも引き継ぐ者が誰もいない時には、海の底に沈めることとされているそうです。
それも、引き継ぎは持ち主が死んだ時に限られているのです。」
「あぁ、なるほどな。
あんたのおやじさんが亡くなったからそれでそれをあんたに……
……あれ?」
リュックが自分で話した言葉に、宙を見上げ小さく首を傾げた。
あなたは今おっしゃったじゃないですか。
お父様は、あなたのことをとても愛し、そして、とても可愛がって下さったと。
そのお気持ちは、たとえお亡くなりになられたとしても、変わるはずがありません。
ですから……あなたが来て下さるのを今もきっと待たれてらっしゃるはずですよ。
お母様だって同じです。
現にお母様は……」
私の言葉に、リンゼイはまた顔を突っ伏して泣き始めた。
特に厳しいことを言ったつもりはなかったが、それでも若い娘には堪えたのかもしれない。
私は苦々しい笑みをリュックに投げかけ、彼はそれに私と同じような顔で小さく頷いた。
クロワは、さっきと同じようにリンゼイの背中を優しくさすり、私達はリンゼイの感情がおさまるのをじっと待つしかなかった。
*
「……何度も取り乱してしまって…本当にごめんなさい。」
「いえ……私の方こそ余計なことを……」
「そ、そんなこと、ありません!
私……皆さんのおかげで、大切なことに気付けたんです。」
赤い目をしたリンゼイは、そう言ってまた声を詰まらせた。
「リンゼイさん、大丈夫?
お水でも飲みますか?」
「いえ…あ…私ったら、皆さんにお茶もまだ出してませんでしたね。」
「いいのよ、そんなこと…
私達が突然押しかけて来たんですもの。」
「では…あと少しだけ話をさせて下さい。
お茶はその後で……」
そう言いながら、リンゼイはリュックが手渡した猫目石の指輪の小箱を大切そうにそっと持ち上げた。
「この指輪のこと……母から聞かれてますか?」
「え?あぁ、魔除けの力がどうとかいうことか?」
リンゼイはゆっくりと頷く。
「この指輪は、父の家にずっと昔から伝わるもので、先祖にはこの指輪のおかげで命を救われた者も何人かいるようです。
ちょっとおかしなことに想われるかもしれませんが、この指輪は配偶者、または血族に引き継ぐ事、もしも引き継ぐ者が誰もいない時には、海の底に沈めることとされているそうです。
それも、引き継ぎは持ち主が死んだ時に限られているのです。」
「あぁ、なるほどな。
あんたのおやじさんが亡くなったからそれでそれをあんたに……
……あれ?」
リュックが自分で話した言葉に、宙を見上げ小さく首を傾げた。
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