お題小説2

ルカ(聖夜月ルカ)

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067 : 指きり

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「あ、そうだ!
カトリーヌ、小指を出してくれ。こんな風に。」

リュックは、他の指は折り、小指だけを立たせて見せた。



「こうですか?」

「そうそう。」

リュックはカトリーヌの小指に自分の小指を絡ませた。



「俺は、カトリーヌの親父さんを必ずみつけるぜ。」

「……なんですか?」

「遠い異国の呪いまじないだ。
必ず、約束を守るって意味らしい。
本当は呪文も一緒に唱えるみたいだけど、そこまで詳しくは知らないんだ。
とにかく、俺はロアンヌの千里眼を信じてる。
絶対に親父さんをみつけるからな。」

「ありがとうございます。」

カトリーヌは、潤んだ瞳でリュックをみつめた。







「リュック、ちょっと期待を持たせ過ぎたんじゃないの?
もしみつからなかったら、カトリーヌさんががっかりするわよ。」

その晩も、いつも通り、四人で食卓を囲む。



「絶対、大丈夫だ。
俺は、それだけあの婆さんを信じてるんだ。」

「それはロアンヌさんが、カトリーヌさんのことを言い当てたからなんですよね?
でも、占いを信じるのは概して若い娘が多い。
しかも、本人が来ないとなれば、具合が悪いからだと考えたんじゃないですか?」

いかにもクロードらしい考え方だ。
だが、リュックがロアンヌを信じるのは、そのことだけではない。
第一には、リュックのことを自分よりも年寄りだと言ったことだ。
けれど、そのことはクロードには話せない。
言おうとすれば、リュックの秘密をぶちまけることになるし、そんな話をクロードが信じる道理もないからだ。



「先生にはわからないだろうな。
でも、良いんだ。
俺は必ずカトリーヌの親父さんをみつけてみせるから。」

リュックも最近はむきになることがなくなった。
クロードには言っても無駄だということがわかったのかもしれない。
昔は私もどちらかといえばクロード寄りの人間だった。
だが、長い旅の間に何度も不思議な出来事に出くわし、この世には、理屈だけでは説明しきれないことがあるとわかったのだ。



「リュック……」

私はリュックの前に小指を差し出した。
リュックは、何も言わず、小指を絡めた。



「私は絶対、カトリーヌさんの父親をみつける。」

「俺もだ!マルタン、絶対にみつけような!」



「リュックはいろんなことを知ってるのね。
誰に聞いたの?」

「遥か昔のことだからな。
誰に聞いたか忘れちまった。」

「遥か昔って…子供の頃なのかしら?」

「あ、そ、そういうことだ。
遥か昔の子供の頃だ。」

クロワにもあの秘密はまだ話せていない。
クロワなら信じてくれるかもしれないが、リュックはまだ話す気にはならないようだ。
それならそれで良い。
リュックがどんな人生を生きて来ようが、彼は彼なのだから。
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