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068 : 夕陽の丘
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「気をつけてね!」
「ありがとう!」
次の日、私達は南に向かって歩き始めた。
気持ちの良い良く晴れた日の朝だった。
クロワとクロードが見送りに来てくれた。
私達は、二人に大きく手を振り、町を離れた。
「信じてはいるんだが、ドミニクという名前だけで探すのは、なかなか難しそうな気はするな。」
「君らしくないことを言うんだな。
名前とだいたいの年がわかってたら、なんとかなるんじゃないか?」
「まぁ、そうだけどな…でも、大きな街なら探すのは骨が折れるぞ。
ドミニクなんて名前の奴はけっこういるかもしれないし。
せめて、カトリーヌが親父さんの見てくれを覚えててくれたら良かったんだけどな。」
「仕方ないさ。小さな子供の頃に別れてるんだから。」
本当に意外だった。
リュックが妙に弱気になっていることが…
「万一ってことは、どんな時にもあるじゃないか。
万一、婆さんの千里眼が外れていたら…
当たっていても、俺達がみつけられなかったら…
そしたら、カトリーヌを悲しませることになっちまう。
今回は黙って探しに行った方が良かったのかもしれないと思ってな。」
「それはそうかもしれないが、もう話してしまったんだ。
とにかく、私達は最善を尽くそう。」
「そうなんだけどなぁ。
糠喜びになったら、申し訳ないなって…
今頃になって、クロワさんに言われたことが気になってな。」
「君の気持ちはわかるが、あまり気にしない方が良い。
良い結果を信じて進もうじゃないか。」
「……そうだな。」
リュックはどこか照れたような笑みを浮かべた。
南への旅は順調だった。
取り立てて言うことのない小さな町をいくつか通り過ぎ、気が付けば、一週間程が経っていた。
今夜は鄙びた田舎町に泊まる。
私達は、町に一軒しか無い宿屋に向かった。
宿は小高い丘の上に建っていた。
私達は、宿屋の前に腰を下ろし、気持ちの良い風を感じていた。
「もうすぐだな。
あと少しで、白い灯台のある海辺の町に着くはずだな。」
「あぁそうだ。
海辺の町に辿り着いたら、やはりロアンヌの千里眼は本当だったということだな。」
「……婆さんは言ったよな。俺の事を『わしより年寄りだ』と。
あれ、どう思った?」
「どうって…それはそのまんまじゃないのか?
君は若く見えるが、本当は誰よりも長い時を生きている。
そのことを言い当てたんじゃないか?」
私はそう話しながら、心の中には矛盾のようなものを感じていた。
千里眼のロアンヌには、リュックはどんな風に視えたのだろう。
「気をつけてね!」
「ありがとう!」
次の日、私達は南に向かって歩き始めた。
気持ちの良い良く晴れた日の朝だった。
クロワとクロードが見送りに来てくれた。
私達は、二人に大きく手を振り、町を離れた。
「信じてはいるんだが、ドミニクという名前だけで探すのは、なかなか難しそうな気はするな。」
「君らしくないことを言うんだな。
名前とだいたいの年がわかってたら、なんとかなるんじゃないか?」
「まぁ、そうだけどな…でも、大きな街なら探すのは骨が折れるぞ。
ドミニクなんて名前の奴はけっこういるかもしれないし。
せめて、カトリーヌが親父さんの見てくれを覚えててくれたら良かったんだけどな。」
「仕方ないさ。小さな子供の頃に別れてるんだから。」
本当に意外だった。
リュックが妙に弱気になっていることが…
「万一ってことは、どんな時にもあるじゃないか。
万一、婆さんの千里眼が外れていたら…
当たっていても、俺達がみつけられなかったら…
そしたら、カトリーヌを悲しませることになっちまう。
今回は黙って探しに行った方が良かったのかもしれないと思ってな。」
「それはそうかもしれないが、もう話してしまったんだ。
とにかく、私達は最善を尽くそう。」
「そうなんだけどなぁ。
糠喜びになったら、申し訳ないなって…
今頃になって、クロワさんに言われたことが気になってな。」
「君の気持ちはわかるが、あまり気にしない方が良い。
良い結果を信じて進もうじゃないか。」
「……そうだな。」
リュックはどこか照れたような笑みを浮かべた。
南への旅は順調だった。
取り立てて言うことのない小さな町をいくつか通り過ぎ、気が付けば、一週間程が経っていた。
今夜は鄙びた田舎町に泊まる。
私達は、町に一軒しか無い宿屋に向かった。
宿は小高い丘の上に建っていた。
私達は、宿屋の前に腰を下ろし、気持ちの良い風を感じていた。
「もうすぐだな。
あと少しで、白い灯台のある海辺の町に着くはずだな。」
「あぁそうだ。
海辺の町に辿り着いたら、やはりロアンヌの千里眼は本当だったということだな。」
「……婆さんは言ったよな。俺の事を『わしより年寄りだ』と。
あれ、どう思った?」
「どうって…それはそのまんまじゃないのか?
君は若く見えるが、本当は誰よりも長い時を生きている。
そのことを言い当てたんじゃないか?」
私はそう話しながら、心の中には矛盾のようなものを感じていた。
千里眼のロアンヌには、リュックはどんな風に視えたのだろう。
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