夢の硝子玉

ルカ(聖夜月ルカ)

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それぞれの旅立ち

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「確かにその通りだ。
 俺は、その後、すべてをやり直すつもりで必死になって金を貯め、船を乗り継いでこのスエルシアまでやって来た。
とにかく、イグラシアから少しでも遠くへ行きたいと…その時はそんな気持ちしかなかったんだ。
あの願い石はおそらくロザリアさんがベルーシアでみつけたものだと思う。
 今にして思えば、なぜあの時、ベルーシアの方へ行かなかったのか…双子石を探そうと思いつかなかったのか…それは今でもわからない。」

 「俺にはわかるような気がするよ、あんたのその気持ち…」

 「ですが、オスカーさん、あなたは若い頃に願い石を使われたそうですが、今のあなたは…」

ダルシャのその言葉に、ラスターとセリナは感心したように頷いた。



 「その通りだ。
 俺の願いは叶えられたとはいえ、俺は完全な不老不死じゃない。
やっぱり、不老不死っていうのは叶えられない願いなんだと思うんだ。
さっき言っただろう?
 願い石は、聞いた話によると、願いをかけた瞬間だか叶った瞬間だかにすぐに砕け散ってしまうらしい。
だけど、俺の願い石は長い時間をかけて砕けた。
これは、俺の推測だが、無理な願いをかけるとそんな風になるんじゃないだろうか?
そして、それは完全でもない。
 見ての通り、俺は年を取っている。
だが、その速度は普通の人間とは明らかに違う。
それに、俺は死なないとは言っても、簡単に傷が治るわけでもなけりゃ痛みを感じないわけでもない。
 病気や怪我だってするんだ。
ただ、普通の人間なら死んでしまうような怪我や病気でも俺は死なないし長い時間をかければやがて良くなる。
……その間の苦しみは、たとえようもない程酷いがな…」

オスカーの言葉には強い説得力があった。
それは彼が過酷な人生を生き抜いてからこそのことだ。
それが痛い程感じられ、三人はそれぞれまだ彼に聞きたいことがあるはずなのに、すぐには言葉が出て来なかった。



 「……それで、あんた達は願い石のことを聞きたいって言ってたが…
なにか、叶えたい願いがあるのか?」

 三人が言葉を探しているうちに、オスカーの方から逆に質問を受け、三人はさらに混乱した。
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