夢の硝子玉

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
上 下
365 / 802
ディーラスを目指して

51

しおりを挟む




 「はい。」



 立ち上がり、扉を開けたダルシャの目に飛びこんで来たのは、待ち焦がれていた二人の懐かしい顔だった。



 「お待たせ!」

 「フレイザー!一体何をしてたんだ!
 遅すぎるぞ!」

 「てっ!」

ダルシャが軽く腕をはたくと、フレイザーは短い声を発すると共に顔をしかめた。



 「あ、ダルシャ…フレイザーは…」

 「ま、そんなことはあとあと…まずは……あれ?」

 事情を話そうとしたジャックの言葉を遮ったフレイザーは部屋の奥に見慣れない顔のブライアンをみつけ、ブライアンは二人に向かって静かに微笑んだ。



 「ブライアン、ようやく待ちわびていた仲間が来た。
こっちがフレイザー、そしてこっちがジャックだ。」

 「初めまして。」

ブライアンは長椅子から立ちあがり、フレイザーと握手を交わし、そして、次にジャックと握手を交わした。



 「つっ…」



まるで、電気にでも触れたような勢いでブライアンは片手を引っ込め、もう片方の手をかばうように添える。



 「……どうかしたのか?」

 「す、すみません。
 昨日、手首をひねってしまって。
たまたま、痛みが走ったんです。」

 「大丈夫ですか?」

 「え…ええ…もう大丈夫です。」

ダルシャは、ブライアンの様子を何も言わず見つめていた。



 「ダルシャ、俺達…」

 「わかっている。
お腹がすいているのだろう?」、

 「あれっ!?なんでわかったんだ?」

 「……顔を見ればわかるさ。
ちょうど、私達も食事に行こうとしていた所だったんだ。
さ、荷物はそこに置いて、早速、何か食べに行こう!」

ダルシャの言葉に、フレイザーはにっこりと微笑んだ。



 「ところで…他のみんなは?
 別の部屋なのか?」

 「……そのことも食事をしながら話そう!」
しおりを挟む

処理中です...