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故郷へ
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「あの時はおかしな所から行ったから、大変な目に遭ったよな。」
「そうそう……あれ?でも、あの時、崖を下ろうって言い出したのはラスターじゃなかったっけ?」
「俺がそんなこと言うわけないだろ!
多分、言ったのはダルシャだ。
ダルシャは、方向音痴だからな。」
ダルシャはラスターのそんな言葉に、特に言い返しもせず、小さく苦笑するだけだった。
一行は、獣人の村を離れると、今度はエルフの里を目指した。
本来ならば、エルフの里に行ってから獣人の村に行く方が都合は良いのだが、ジュリアスにかかるリスクを考え、何よりも先に獣人の村に向かったのだった。
「セリナ…楽しみだね。
お母さんに会うの、すごくひさしぶりなんだよね?」
「ええ……なんだか久しぶり過ぎて、まだ信じられないくらいだわ。
皆の願いを後回しにして使わせてもらった願い石のお蔭で、あの後からは母様のことを心配せずに旅が出来た。
エルフの里にいたら、誰も近づけないもの……」
「……本当にエルフは人や獣人を食ったりしないのか?」
心配そうな顔でおずおずと口を開いたジャネットに、皆の頬が緩んだ。
「食ったりはしないよ。
……ただ、見た目は怖いけどな。」
「えっ!?」
「背なんてボクの倍以上あるし、つのが生えてて、鋭い牙があって……」
「大木も一撃でなぎ倒すからな。」
フレイザーとエリオットの冗談を真に受けたジャネットは、何も言えずに顔を強張らせる。
「ま、でも、根は良い奴らだから大丈夫だ。」
「本当に…本当に大丈夫なんだな?」
「……怒らさないように気を付けてれば、ね。」
二人の悪ふざけに、他の者達もこみあげる笑いをこらえながら、六人はエルフの里を目指した。
「あの時はおかしな所から行ったから、大変な目に遭ったよな。」
「そうそう……あれ?でも、あの時、崖を下ろうって言い出したのはラスターじゃなかったっけ?」
「俺がそんなこと言うわけないだろ!
多分、言ったのはダルシャだ。
ダルシャは、方向音痴だからな。」
ダルシャはラスターのそんな言葉に、特に言い返しもせず、小さく苦笑するだけだった。
一行は、獣人の村を離れると、今度はエルフの里を目指した。
本来ならば、エルフの里に行ってから獣人の村に行く方が都合は良いのだが、ジュリアスにかかるリスクを考え、何よりも先に獣人の村に向かったのだった。
「セリナ…楽しみだね。
お母さんに会うの、すごくひさしぶりなんだよね?」
「ええ……なんだか久しぶり過ぎて、まだ信じられないくらいだわ。
皆の願いを後回しにして使わせてもらった願い石のお蔭で、あの後からは母様のことを心配せずに旅が出来た。
エルフの里にいたら、誰も近づけないもの……」
「……本当にエルフは人や獣人を食ったりしないのか?」
心配そうな顔でおずおずと口を開いたジャネットに、皆の頬が緩んだ。
「食ったりはしないよ。
……ただ、見た目は怖いけどな。」
「えっ!?」
「背なんてボクの倍以上あるし、つのが生えてて、鋭い牙があって……」
「大木も一撃でなぎ倒すからな。」
フレイザーとエリオットの冗談を真に受けたジャネットは、何も言えずに顔を強張らせる。
「ま、でも、根は良い奴らだから大丈夫だ。」
「本当に…本当に大丈夫なんだな?」
「……怒らさないように気を付けてれば、ね。」
二人の悪ふざけに、他の者達もこみあげる笑いをこらえながら、六人はエルフの里を目指した。
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