お題小説

020 ： 妖精のお茶会

４

オリヴィア、待っててくれよ。
もうじき帰るからな…
そしたら、すぐに一緒に暮らそうな…

考え事をしているうちにどのくらいの時間が経ったのか…

妖精がひらひらと透き通った羽根をはためかせて俺の近くに飛んできた。



「こっち！こっち！」

妖精に言われるままについていくと、広い場所に大きなテーブルがあって、そこには食べ物や飲み物が所狭しと並んでいた。
俺は、妖精の小さな椅子には座れない。
そのためか、椅子の代わりに干し草のようなものが敷いてあり、そこに座るように促された。

妖精の出してくれたお茶は、なにかの果物に似た味でとても良い香りした。
 飲むと、なんだか気分が落ち着く。

お茶を飲みながら、妖精達と他愛無い会話を交わした。
 本当に彼らは善良で可愛らしい…

そのうち、太り気味の妖精が大きな瓶を抱えて持ってきた。
 一部で歓声が上がった。

それは、アルコールのようなものだった。
やや甘いが良い味をしている。

こんな可愛らしい妖精が酒を飲むなんて…
俺は思わず笑ってしまった。

時間が経つにつれて妖精達も酔っぱらってきたようで、歌を歌いだすものや踊り出す者もいた。
そんな人間臭い姿がとてもおかしくて、俺も大声でへたくそな歌を歌い、妖精を頭に乗せてわけのわからないダンスを踊った。



「あ……」

足がなくなれば、こうして踊ることも出来なくなるんだな…

いや、そのかわり、魚のように水の中を泳ぎ回れるようになるのだ。

陸に住むわけじゃないんだから、ダンス等踊れなくて構わないのだ。

そんなとりとめのないことを考えながら、俺はダンスを踊り続けた。

 今度はゆるやかなワルツだ…
オリヴィアと踊ってるつもりになってのシャドーダンス…
妖精達が不思議そうな顔をして俺をみつめていた。