608 / 641
095 : 修道院
28
しおりを挟む
「こう言っては申し訳ないのですが…
本来、この孤児院では病気のお子さんを受け入れることはありません。
しかし、神父様のお口添えもありましたし、三ヶ月だけとのことでしたからお預かりしましたが、あなたは三ヶ月を過ぎても戻っていらっしゃいませんでした。
ただでさえ、人手の足りないここで、寝たきりのミシェルは特に手がかかって困っていたのです。
そんな時、ある夫婦がここを訪れました。
お気の毒な事にそのご夫婦はお子さんを亡くされ、それで養子を迎えようと考えられたようです。
そして、院内を見て歩かれていた時に、ミシェルに気付かれたのです。
ミシェルを見たお二人の様子は異常な程でした。
お話をうかがった所、お二人のお子さんはご病気で亡くなられたとのこと。
それも、ミシェルと同じ年恰好のお子さんだったらしく、それで、お二人は亡くなったお子さんを思い出されたようです。
お二人は長い間、ミシェルに付き添いながら、何事かを話しあわれていました。
そして、あろうことか、ミシェルを引き取りたいとおっしゃったのです。
私はあなたからお預かりした事情を話し、この子はだめだと言いました。
それでなくとも、悪い病気でいつその命が尽きるかもしれないのだということも話しました。
しかし、それでもお二人は諦めず、毎日、ミシェルを見舞って下さったのです。
私は困り果て、神父様にご相談しました。
神父様も困ってらっしゃるようですが、あなたはなかなか帰っていらっしゃらないし、ミシェルのためにもあのご夫婦に引き取られた方が良いのではないかとおっしゃり、そして、ミシェルは…」
「そんな!酷いじゃないか!
マルタンは…いや、ヴィクトルは、事故に遭って記憶を失ってたんだ!
それで、つい最近記憶を思い出してそれで…」
「記憶を失って…?
そんなことがあったんですか…
すみません。でも、ここには、必ず引き取りに来ると言ってそのままの親御さんもけっこういらっしゃるもので…それで、私…」
「院長…あなたが悪いのではありません。
私はあなたを責めるつもりはないのです。
それよりも、長い間ミシェルの面倒をみて下さったこと、感謝しています。
それで、ミシェルは今どこに?」
「ミシェルの行先は…神父様にお尋ね下さい。
神父様がご存知のはずです。」
私達は、その足で教会を訪ねた。
本来、この孤児院では病気のお子さんを受け入れることはありません。
しかし、神父様のお口添えもありましたし、三ヶ月だけとのことでしたからお預かりしましたが、あなたは三ヶ月を過ぎても戻っていらっしゃいませんでした。
ただでさえ、人手の足りないここで、寝たきりのミシェルは特に手がかかって困っていたのです。
そんな時、ある夫婦がここを訪れました。
お気の毒な事にそのご夫婦はお子さんを亡くされ、それで養子を迎えようと考えられたようです。
そして、院内を見て歩かれていた時に、ミシェルに気付かれたのです。
ミシェルを見たお二人の様子は異常な程でした。
お話をうかがった所、お二人のお子さんはご病気で亡くなられたとのこと。
それも、ミシェルと同じ年恰好のお子さんだったらしく、それで、お二人は亡くなったお子さんを思い出されたようです。
お二人は長い間、ミシェルに付き添いながら、何事かを話しあわれていました。
そして、あろうことか、ミシェルを引き取りたいとおっしゃったのです。
私はあなたからお預かりした事情を話し、この子はだめだと言いました。
それでなくとも、悪い病気でいつその命が尽きるかもしれないのだということも話しました。
しかし、それでもお二人は諦めず、毎日、ミシェルを見舞って下さったのです。
私は困り果て、神父様にご相談しました。
神父様も困ってらっしゃるようですが、あなたはなかなか帰っていらっしゃらないし、ミシェルのためにもあのご夫婦に引き取られた方が良いのではないかとおっしゃり、そして、ミシェルは…」
「そんな!酷いじゃないか!
マルタンは…いや、ヴィクトルは、事故に遭って記憶を失ってたんだ!
それで、つい最近記憶を思い出してそれで…」
「記憶を失って…?
そんなことがあったんですか…
すみません。でも、ここには、必ず引き取りに来ると言ってそのままの親御さんもけっこういらっしゃるもので…それで、私…」
「院長…あなたが悪いのではありません。
私はあなたを責めるつもりはないのです。
それよりも、長い間ミシェルの面倒をみて下さったこと、感謝しています。
それで、ミシェルは今どこに?」
「ミシェルの行先は…神父様にお尋ね下さい。
神父様がご存知のはずです。」
私達は、その足で教会を訪ねた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる