1ページ劇場②

ルカ(聖夜月ルカ)

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「アーサー!逃げろ!
マシンがおかしな動きをしているぞ!」

 「大丈夫だ、あと少しで…」

 「いいから逃げるんだ!
 激しい振動が始まっている!」

 「君は先に逃げてくれ!
 僕もすぐに行くから!」

ブライアンは渋々マシンから出て行った。



ある遺跡からこのマシンが発掘されたのが、約半年前。
調査の結果、それはタイムマシンだということがわかった。
現在も、タイムマシンの開発は進んでいるが、そいつは現代開発中のものとはまるで違うタイプのものだった。
この数か月間、僕はずっと泊まりっきりで、タイムマシンの調査にあたっていた。
そして、つい数分前に、マシンは不審な動きを始めたのだ。
それは、僕が起動スイッチだと思われる回路の修理にあたっていた時のことだった。



 (やっぱり、僕の思った通りだ。
これが起動スイッチであることは間違いない。)



 「あっ!」


 前面の液晶部分が点灯し、そこには3012という数字が表れた。
それは現在の年代だ。
つまり、このマシンは正常に作動しているということか?
それと同時に、扉が勝手に閉じられた。



まずいっ!
マシンが起動始めた。
なんとかしてここから脱出しなければと思う一方で、これが本当に時を移動するのかどうか、科学者としてそれを確かめたい気持ちにもかられた。
だが、どちらにしようかと迷う暇もなかった。
 数字はどんどんその数を減らしている。
どこで止めるのが得策か?数字の動きはとても早く、それを考える余裕もない。



 「あっ!!」



 突然の大きな揺れに、僕はバランスを失い、前面のボタンを肘で押してしまった。
 数字が2016で止まり、唐突に扉が開いた。
これが年号だとしたら、1000年近く時をさかのぼったことになるが、あんな古代のマシンにそこまでの性能があるとは思えなかった。



 外は暗く、雨が降っていた。
あたりには民家の明かりひとつ見えない。
どうやら現在は夜、場所は森の中のようだ。



 (つまり、このマシンが僕を移動させたことは間違いない。
ただ、それが場所だけの移動なのか、時をもさかのぼったのかはまだわからないが…)



 森の中をしばらく歩くと、小さな明かりが見えた。
 僕はその明かりを頼りに、その場所を目指した。
どうやら、それは小さな民家のようだった。



 (道に迷ったふりをして…いや、記憶を失ったふりをした方が良いか…)



その民家で今がいつなのか、ここがどこなのかを聞きこむつもりだった。
その時、大きな爆発音がした。
振り向くと、赤い大きな炎が見えた。
それは、ちょうどマシンのあったあのあたりだ。



きっと、無理な負荷がかかりすぎたんだ。
そう思うと、もしかしたら本当に時をさかのぼったのではないかという想いが強くなり、僕は小走りで民家を目指した。



 「あっ!」

 今の爆発音のせいか、ちょうど民家の扉が開き、中から若い女性が姿を現した。
 女性は僕を見て、どこか怯えたような顔をしていた。



 「あ、あの…今の爆発音、何なんでしょうか?」

 「さ、さぁ…良くはわかりませんが、あそこに炎が…」

 「では、さっき走って行った黒ずくめの男たちが何か…!?」

 僕は咄嗟に作り話を話した。



 「えっ!?黒ずくめの男達?」

 「は、はい、皆、ものすごい勢いで走って行きました。」

 「気味が悪いわ…」

 「そうですね。一体、何者なんでしょうね。」

 僕は、女性に話を合わせた。



 「ところで…あなたは…」

 「僕は…実は自分が誰なのかわからないんです。」

 「えっ!?どういうことですか?」

 「気が付いたら、こんな所にいて…
でも、僕は名前もなんでこんなところにいるのかも、何も覚えてないんです。」

 「……カレン、中に入っていただきなさい。」

 不意に低い声が聞こえて、扉の影から初老の男性が現れた。
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