1ページ劇場②

ルカ(聖夜月ルカ)

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彼女がいなくなったこと…そして、信じられないものを見たことで、しばらくは神経衰弱になってしまっていた私だが、時の経過と共に、なんとなく立ち直ることが出来た。
 私は、岡本家のみそっかすだ。
 私には優秀な兄が二人いるし、病にかかり、神経衰弱まで発症してしまったから、もう誰も私に期待なんてしていない。
そのおかげで、私は自由気ままに暮らすことが出来た。
いい年をして嫁も娶らない息子がいるなんて、両親からしたら不名誉なことだろうが、何も言われることはなかった。
もちろん、岡本の家に戻ることは出来なかったが、それも特に悲しいとは思わなかった。



 家にいたらとても許してはもらえないような三流の会社に就職し、細々とした暮らしを続けた。
 女性と付き合うことも何度かあったが、結婚の話になるとつい逃げてしまった。
 私の心には、輝夜が根強く住み着いていたからだ。
 自分でもあの三年間が夢だったのではないかと思うことがある。
そう考えた方が自然なのだ。
だが、夢にしてはあまりにも記憶が鮮明だ。
 彼女の声も温もりもにおいも…こんなに老いぼれてしまった今でさえ、はっきりと記憶している。
 本当におかしなものだ。



だが…考えようによっては、私は幸せな人生を歩んだのかもしれない。
 叶うことのない馬鹿馬鹿しい夢だったかもしれないが、私は、一生涯、好きな女性のことを考え、心の奥底で彼女が戻って来ることをずっと待っていられたのだから。



きっと、私は幸せな気分で死にゆくことが出来るだろう。
それとも、その瞬間には馬鹿な一生だったと後悔するのだろうか?



 (今夜は満月か…)



 空には明るい満月が浮かんでいる。
あの時、不思議なものが月から飛来して…



(……ん?)



 私は目を凝らした。
なにか明るい光が私の方に向かって来る…



(まさか、な…)



 私はごしごしと目をこすった。
そして、再び、空を見上げた。



 見間違いではない…
あの時と同じ、明るい光が私に向かって飛んで来る…
期待と不安で、私の鼓動は速さを増した。



あの時と同じ…
私の家の庭は、真昼のような明るさに包まれた。
そこから青白い一筋の光が差し込み、私は無意識にその光のもとへ向かった。



 (あっ!)



それは、瞬きひとつするかしないかの間の出来事だった。
 私は、見知らぬ部屋にいた。
そして、私の目の前には二人の女性がいた。
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