1ページ劇場④

ルカ(聖夜月ルカ)

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公園の桜

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(あぁ、お腹すいた。
早く帰って、あ……)



仕事の帰り道、いつものように家路を急いでいた私は、あることに気が付いた。
そう、通い慣れたいつものスーパーが、改装をするために三日間休みだということを。



(困ったなぁ…駅前のスーパーは高いし、どこか安いところは…あ、そうだ!)



以前、足に怪我をして、外科を探していた時に、スーパーの前を通りがかったことを思い出した。
表に並べられた野菜が、確か、安かった。
私はそのスーパーを目指すことにした。
少し遠かったけど、仕方がない。



(あれ~?おかしいな。
確か、こっちだったと思ったんだけどな。)



頭に浮かんだスーパーがなかなかみつからない。
寂れた道で、あたりには人気もなく、道を訊ねる人もいない。



(えー…なんでないのよ。)



ふと見ると、右手に公園らしきものがあった。
犬を散歩させてる人でもいないかと、公園に向かう。



「わぁ……」



私は思わず声を上げていた。
公園の真ん中には、大きな桜の木があり、公園の街灯に照らされていた。



毎年、特に桜を見に行ったりはしない。
通勤の途中でついでに見るだけで満足だった。
桜にそれほど関心がなかったんだ。



だけど、私は今、桜の木を見上げ、佇んでいる。
別にライトアップされてるわけでもないのに、なぜだかその桜にはすごく気を惹かれた。



「綺麗……」



今更にして、桜の美しさに気付いたような感じだった。
風が吹いて、はらはらと舞い踊る花びらに、溜め息がこぼれた。



いくらでも機会はあったのに、わざわざ桜を見に行こうという気にはならなかった。



(あ…もしかして…)



若い頃、会社での花見があり、その時は上司にお酌をさせられたり、苦手な歌を歌わされて、花見が嫌で仕方がなくて…



(だから、桜が嫌いになってたのかな?)



ふと、そんな想いが頭を過ぎった。



(迷ったのも悪くは無いかな。こんなに綺麗な桜が見られたんだもの。
今度は昼間に見に来よう。)



私は満ち足りた気分で、公園を後にした。
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