2 / 17
衝動
2
しおりを挟む
「よしっ!今度は北だ!」
ジュリアンは、宿を出るとひたすら北へ向かった。
昨夜見たおかしな夢のせいなのだろうか、突然、寒い所に行きたいという衝動にかられてしまったのだ。
何日も歩き続け、時には馬車にも乗り…
進むにつれ寒さはどんどん厳しくなった。
(…えらく寒いな。いくらなんでも、こんな遠い所まで来ることはなかったか…)
そんな風に少し後悔する気持ちもあるにはあったが、それでもジュリアンは引き返すことはしなかった。
やがて、ジュリアンの目の前に広がったのはツンドラ地帯。
もう夏も近いというのに、あたりの空気は肌を刺すように冷たい。
この辺の土地は永久凍土…
つまりは、この地下の土は暖かくなっても溶けない固く凍った土なのだ。
ジュリアンはこの町に一軒しかない寂れた宿に足を踏み入れた。
「ちょっと尋ねたいんだが…このあたりに石の採れる場所はあるかな?」
「あぁ、あるにはあるよ。水晶がよく採れるって場所がね。」
「……水晶かぁ……」
ジュリアンは、石の採掘を生業としている。
とはいっても大掛かりなものではなく、個人で好きな時にでかけては採ってくるといった地道な商売だ。
生業というよりは趣味の延長と言った方が良いかもしれない。
はっきりとした理由はわからなかったが、子供の頃からジュリアンは石が好きで、気が付いたら自分で掘るようになっていた。
つい先日は思いがけず良いエメラルドを堀り当てたため、当座は資金繰りには困らないのだが、水晶ではたいした金にはなりそうにない。
旅費と日にちをかけてわざわざこんな遠い所まで来て、水晶だなんて…
もっと考えて行動すべきだったとジュリアンは悔やんだ。
落胆と疲労のため、ジュリアンはまずは宿でゆっくりと休むことにした。
*
次の日、ジュリアンはあまり気乗りしなかったせいか、昼近くになってからようやく教えてもらった場所へ出発した。
何もないといえば何もないのだが、見方を変えればそこはとても気持ちの良い景色だった。
地球の広大さを感じることの出来る風景だ。
頬を撫でる冷たい風が、ジュリアンの沈みかけた気持ちに新たな息吹を吹き込んだ。
(……せっかく来たんだから、とりあえずは頑張るか。
幸い、今は金にも困っちゃいない。
とびっきり綺麗な水晶を掘り出してやろうじゃないか。)
考え方を少し変えただけで、ジュリアンのつるはしを振るう腕に力がこもった。
長い髪を一つに束ね、何度も何度もつるはしをふるっているうちに、ジュリアンの額からは玉のような汗が滴り落ちる。
ジュリアンは、宿を出るとひたすら北へ向かった。
昨夜見たおかしな夢のせいなのだろうか、突然、寒い所に行きたいという衝動にかられてしまったのだ。
何日も歩き続け、時には馬車にも乗り…
進むにつれ寒さはどんどん厳しくなった。
(…えらく寒いな。いくらなんでも、こんな遠い所まで来ることはなかったか…)
そんな風に少し後悔する気持ちもあるにはあったが、それでもジュリアンは引き返すことはしなかった。
やがて、ジュリアンの目の前に広がったのはツンドラ地帯。
もう夏も近いというのに、あたりの空気は肌を刺すように冷たい。
この辺の土地は永久凍土…
つまりは、この地下の土は暖かくなっても溶けない固く凍った土なのだ。
ジュリアンはこの町に一軒しかない寂れた宿に足を踏み入れた。
「ちょっと尋ねたいんだが…このあたりに石の採れる場所はあるかな?」
「あぁ、あるにはあるよ。水晶がよく採れるって場所がね。」
「……水晶かぁ……」
ジュリアンは、石の採掘を生業としている。
とはいっても大掛かりなものではなく、個人で好きな時にでかけては採ってくるといった地道な商売だ。
生業というよりは趣味の延長と言った方が良いかもしれない。
はっきりとした理由はわからなかったが、子供の頃からジュリアンは石が好きで、気が付いたら自分で掘るようになっていた。
つい先日は思いがけず良いエメラルドを堀り当てたため、当座は資金繰りには困らないのだが、水晶ではたいした金にはなりそうにない。
旅費と日にちをかけてわざわざこんな遠い所まで来て、水晶だなんて…
もっと考えて行動すべきだったとジュリアンは悔やんだ。
落胆と疲労のため、ジュリアンはまずは宿でゆっくりと休むことにした。
*
次の日、ジュリアンはあまり気乗りしなかったせいか、昼近くになってからようやく教えてもらった場所へ出発した。
何もないといえば何もないのだが、見方を変えればそこはとても気持ちの良い景色だった。
地球の広大さを感じることの出来る風景だ。
頬を撫でる冷たい風が、ジュリアンの沈みかけた気持ちに新たな息吹を吹き込んだ。
(……せっかく来たんだから、とりあえずは頑張るか。
幸い、今は金にも困っちゃいない。
とびっきり綺麗な水晶を掘り出してやろうじゃないか。)
考え方を少し変えただけで、ジュリアンのつるはしを振るう腕に力がこもった。
長い髪を一つに束ね、何度も何度もつるはしをふるっているうちに、ジュリアンの額からは玉のような汗が滴り落ちる。
0
あなたにおすすめの小説
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる