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第5章…side ノワール
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「この鏡で違う時代に行けるとでも言うのか?」
私はいかにも小馬鹿にした態度で鏡を指差した。
「そうだ…」
「どうすれば良いのだ?」
「……残念ながら、今はまだ行けぬ。」
「今はまだ?
どういうことだ?行くのには時期が決まっているのか?」
「そうではない…
この鏡は実は一枚では不完全なのだ。
二枚の鏡を合わせ、その合わせ鏡の道を通っていくのだ。」
やはり思った通りだ!
ジェロームは過去へ通じる魔術を知っていた!
「しかし…それではいつの時代に着くかわからないのではないのか?」
「それは、二枚の鏡の距離で調整するのだ。
……おまえ、これにやけに興味があるのだな…?」
ジェロームの視線が鋭くなったのを感じ、私は心の中の焦りを押さえ作り笑いを浮かべる。
「別に、そんなことはないが…
だが、面白そうではないか。
本当に行ければ……の話だがな。」
「本当だとも。
もう一枚の鏡のありかもすでにわかっている。」
「ならばなぜ手に入れないのだ?」
「もちろん、何度も交渉したのだがなかなか譲ってくれないのだ。」
「やはりな…本当はそんなものありはしないのだろう?」
「嘘だというのか?
嘘ではない!信じてくれ、ノワール。」
「なら、それが誰なのかを教えてくれ…」
私はジェロームを背中からそっと抱き締めた。
「あなたも鏡がほしいのだろう?
なんなら私が交渉してみよう。」
「いや…一筋縄で行く女ではないのだ。」
女か…
それなら、ジェロームには無理でも私ならなんとかなるかもしれない…
「ジェローム…この件は私にまかせてくれないか…
なんだか妙にその鏡が欲しくなって来た。」
私はジェロームの耳に吐息を吹きかけながら甘く囁いた。
「おまえは我が儘な子だな…」
ジェロームに身を任せ、私は鏡を持つ女の名を聞き出した。
*
「では、行ってくる。」
「本当に一人で大丈夫なのか?」
「子供じゃないんだ…
心配しないでくれ。
鏡は、必ず手に入れてみせるから。」
馬車を走らせ着いた先は町はずれの屋敷だった。
ジェロームの屋敷とは比べ物にはならないが、ここもまた立派な屋敷だった。
中から出てきたのは、クラウディアという中年の女だった。
昨夜、ジェロームに聞いた話によるとクラウディアという女は貴族の後添えに入った女だが、元々は身分の卑しい女だということだった。
そのことは、言われなくともクラウディアの顔や仕草を見るだけですぐにわかった。
「初めまして、クラウディアさん。
私はノワールという者です。」
「……ノワールねぇ…」
クラウディアは私の身体を上から下までなめるようにじろじろとみつめた。
私はいかにも小馬鹿にした態度で鏡を指差した。
「そうだ…」
「どうすれば良いのだ?」
「……残念ながら、今はまだ行けぬ。」
「今はまだ?
どういうことだ?行くのには時期が決まっているのか?」
「そうではない…
この鏡は実は一枚では不完全なのだ。
二枚の鏡を合わせ、その合わせ鏡の道を通っていくのだ。」
やはり思った通りだ!
ジェロームは過去へ通じる魔術を知っていた!
「しかし…それではいつの時代に着くかわからないのではないのか?」
「それは、二枚の鏡の距離で調整するのだ。
……おまえ、これにやけに興味があるのだな…?」
ジェロームの視線が鋭くなったのを感じ、私は心の中の焦りを押さえ作り笑いを浮かべる。
「別に、そんなことはないが…
だが、面白そうではないか。
本当に行ければ……の話だがな。」
「本当だとも。
もう一枚の鏡のありかもすでにわかっている。」
「ならばなぜ手に入れないのだ?」
「もちろん、何度も交渉したのだがなかなか譲ってくれないのだ。」
「やはりな…本当はそんなものありはしないのだろう?」
「嘘だというのか?
嘘ではない!信じてくれ、ノワール。」
「なら、それが誰なのかを教えてくれ…」
私はジェロームを背中からそっと抱き締めた。
「あなたも鏡がほしいのだろう?
なんなら私が交渉してみよう。」
「いや…一筋縄で行く女ではないのだ。」
女か…
それなら、ジェロームには無理でも私ならなんとかなるかもしれない…
「ジェローム…この件は私にまかせてくれないか…
なんだか妙にその鏡が欲しくなって来た。」
私はジェロームの耳に吐息を吹きかけながら甘く囁いた。
「おまえは我が儘な子だな…」
ジェロームに身を任せ、私は鏡を持つ女の名を聞き出した。
*
「では、行ってくる。」
「本当に一人で大丈夫なのか?」
「子供じゃないんだ…
心配しないでくれ。
鏡は、必ず手に入れてみせるから。」
馬車を走らせ着いた先は町はずれの屋敷だった。
ジェロームの屋敷とは比べ物にはならないが、ここもまた立派な屋敷だった。
中から出てきたのは、クラウディアという中年の女だった。
昨夜、ジェロームに聞いた話によるとクラウディアという女は貴族の後添えに入った女だが、元々は身分の卑しい女だということだった。
そのことは、言われなくともクラウディアの顔や仕草を見るだけですぐにわかった。
「初めまして、クラウディアさん。
私はノワールという者です。」
「……ノワールねぇ…」
クラウディアは私の身体を上から下までなめるようにじろじろとみつめた。
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