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第5章…side ノワール
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「あぁ、ジェローム、わかっている。
あなたにこれほど愛してもらえるとは…私は本当に幸せ者だ……」
心にもない私の台詞に、ジェロームは瞳を潤ませた。
この男はとても危険だ。
まさか、クラウディアを手にかけてしまうとは……
怒らせると何をするかわからない男だ。
これからは、もっと慎重にやらなくては……
クラウディアの死のことで私が疑われるのではないかと心配したが、風の噂で聞いた所によると、クラウディアは男とどこかへ出ていったという風に思われているようだった。
もしかしたら、使用人達がそう言いふらしたのかもしれない。
彼女がいなくなって、きっとほっとしたのだろう。
あんな奴のことなどを、親身になって案ずる者などいないのだ。
自業自得というやつだ。
私の身体の傷は思ったよりも酷かった。
完治するまで待っていたらいつまでかかるかわからない。
一刻も早くブルーを探しに行きたい私は、ある程度動けるようになってから、ジェロームに鏡のことを切り出した。
「ジェローム…そろそろ、あの実験をやってみないか?
あんなに苦労して手に入れた鏡だ。
早く使ってみたいんだ!」
「しかし…まだ身体が元通りではないだろう?」
「いや、もうほとんど大丈夫だ。
……それは昨夜のことでわかってるだろう?」
私が片目をつぶってそう囁くと、ジェロームは苦笑いを浮かべた。
「でも、無理はいかんぞ。良いか?ちゃんと時間を飛び越えられたことがわかったら、すぐに帰って来るのだぞ。」
「ジェローム…まだ私のことを信用していないのか?
私はどんなに離れていようと、たとえ、違う時代に行こうともあなた以外の者にひかれたりなどしない。
まだ信じてもらえないのか?」
私は出来るだけ悲しい顔を作ってジェロームにそう訴えた。
「信じていないわけではない。
……ただ、おまえと離れているのが寂しいだけなのだ。
そうだ。一緒にいこう!それなら……」
「これで本当に時間を飛び越えることが出来るかどうかもわからんのだ。
作動しないだけならまだしも、もしかしたらとんでもない所に行ってしまうかもしれない。
だから、私が先に行って危険のないことを確かめてくる。
あなたに何かあったら、私は生きてはいけないのだからな……」
「またそんな可愛いことを……」
ジェロームはそう言って私の身体を抱き締めた。
「それに、こちら側に誰かが残っていなくては、何かあった時に私はどうすれば良いのだ?
この鏡の使い方自体、まだよくはわかっていないのだからな。
私が信頼出来るのは…この命を預けられるのは、ジェローム…あなたしかいないのだから……」
私は、ジェロームの瞳をみつめそう言った。
「ノワール…そんなにまで私のことを信頼してくれているのか…」
ジェロームの唇が私の唇に覆いかぶさる。
熱い吐息を感じながら、ジェロームが私の口車にうまく乗せられたことを私は確信した。
あなたにこれほど愛してもらえるとは…私は本当に幸せ者だ……」
心にもない私の台詞に、ジェロームは瞳を潤ませた。
この男はとても危険だ。
まさか、クラウディアを手にかけてしまうとは……
怒らせると何をするかわからない男だ。
これからは、もっと慎重にやらなくては……
クラウディアの死のことで私が疑われるのではないかと心配したが、風の噂で聞いた所によると、クラウディアは男とどこかへ出ていったという風に思われているようだった。
もしかしたら、使用人達がそう言いふらしたのかもしれない。
彼女がいなくなって、きっとほっとしたのだろう。
あんな奴のことなどを、親身になって案ずる者などいないのだ。
自業自得というやつだ。
私の身体の傷は思ったよりも酷かった。
完治するまで待っていたらいつまでかかるかわからない。
一刻も早くブルーを探しに行きたい私は、ある程度動けるようになってから、ジェロームに鏡のことを切り出した。
「ジェローム…そろそろ、あの実験をやってみないか?
あんなに苦労して手に入れた鏡だ。
早く使ってみたいんだ!」
「しかし…まだ身体が元通りではないだろう?」
「いや、もうほとんど大丈夫だ。
……それは昨夜のことでわかってるだろう?」
私が片目をつぶってそう囁くと、ジェロームは苦笑いを浮かべた。
「でも、無理はいかんぞ。良いか?ちゃんと時間を飛び越えられたことがわかったら、すぐに帰って来るのだぞ。」
「ジェローム…まだ私のことを信用していないのか?
私はどんなに離れていようと、たとえ、違う時代に行こうともあなた以外の者にひかれたりなどしない。
まだ信じてもらえないのか?」
私は出来るだけ悲しい顔を作ってジェロームにそう訴えた。
「信じていないわけではない。
……ただ、おまえと離れているのが寂しいだけなのだ。
そうだ。一緒にいこう!それなら……」
「これで本当に時間を飛び越えることが出来るかどうかもわからんのだ。
作動しないだけならまだしも、もしかしたらとんでもない所に行ってしまうかもしれない。
だから、私が先に行って危険のないことを確かめてくる。
あなたに何かあったら、私は生きてはいけないのだからな……」
「またそんな可愛いことを……」
ジェロームはそう言って私の身体を抱き締めた。
「それに、こちら側に誰かが残っていなくては、何かあった時に私はどうすれば良いのだ?
この鏡の使い方自体、まだよくはわかっていないのだからな。
私が信頼出来るのは…この命を預けられるのは、ジェローム…あなたしかいないのだから……」
私は、ジェロームの瞳をみつめそう言った。
「ノワール…そんなにまで私のことを信頼してくれているのか…」
ジェロームの唇が私の唇に覆いかぶさる。
熱い吐息を感じながら、ジェロームが私の口車にうまく乗せられたことを私は確信した。
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